第6章 「ふげん」の運転実績

帯

6


発生年月日
件   名
概    要
原    因
対    策
系統設備
報告根拠
〔11年度〕
H11.4.7
(定検中)
 B再循環ポンプの損傷
4月3日、B、Dポンプの試運転を実施したところ、Bポンプのシール水注入系で「B−熱遮蔽差圧高」の警報が発信した。
試運転時のパラメータ等を調査した結果、警報が発信した原因として、ポンプに注入されているシール水の原子炉冷却材側への流れが、試運転時に正常でなかったと推定されたため、当該ポンプを再度分解し詳細調査を行った。
(警報動作により発見)
(設備不備)(施工不完全)
・今定期検査における当該ポンプの分解点検後の組み立て作業において、フローティングリングを組み込む際トルク管理を行っていたが、下部にあるガスケットへの押し付け状態の差等により、僅かに傾いた状態で熱遮蔽装置に組み込まれた。また、熱遮蔽装置を本体に組み込む祭に、厳密な隙間管理を行っていなかったことから、同装置が主軸に対して僅かにずれた状態で本体に組み込まれた。
以上の状態でポンプを起動したため、フローティングリングとスリーブの接触による振動の発生及び当該部の温度上昇により、シール水の流路抵抗が増加し、熱遮蔽装置差圧高の警報が発生したと考えられる。
(1)摺動傷が認められたフローティングリング及びスリーブ等を新品と取り替える。
(2)今後のポンプ組み立て作業にあたっては、作業要領書に以下の点を明確に記載し、サイクル機構職員立会のもと、確実に実施することとした。
フローティングリングを熱遮蔽装置に取り付ける際には、従来のトルク管理に加え、隙間ゲージ等を用いて傾きがないことを確認する。
熱遮蔽装置を本体に組み込む際には、専用治具を用いて隙間管理を行う。
原子炉冷却系統設備
炉規法
電事法

H11.7.2
(定検中)

重水精製装置IIエリアトリチウムモニタ等の上昇 7月2日、重水精製装置IIの運転中、循環液フィルタ付近からの重水漏れを確認したため、直ちに同装置及び換気系の運転を停止するとともに、循環液フィルタ前後の弁を閉止し、漏えいを停止した。
この漏えいに伴い、重水精製装置?のエリアトリチウムモニタの指示値が上昇し、「モニタ高」、「モニタ高高」警報が発信したが、その後、指示値は徐々に低下した。
また、漏えいした重水は、約35リットル回収した。
(設備不備)(施工不完全)
本年4月、循環液フィルタを交換した際、上部蓋フランジ面の凹部にガスケットを取り付けた状態で、蓋を反転させ、フィルタ取付板がセットされた下部フランジと結合させようとした際、ガスケットが溝から脱落し、本来セットされるべき位置から外周にずれたまま装着されたものと推定された。
その後、7月2日からの循環ポンプ起動により、フランジ内部に圧力がかかり、ガスケットの一部がフランジ部から外にはみ出したことから、その部分から重水が漏えいしたものと推定された。
循環液フィルタのガスケット部からの漏れを防止するため、フランジ取付板をフランジ部で固定する方式からフランジ本体内に取り付ける方式とする。また、フランジ本体は、下部フランジにOリングを装着し、漏れを防止する方式とする。
今後の分解点検にあたっては、作業者及びサイクル機構担当者により、フランジ面組み立て後の外観点検を確実に実施することとする。
 RI施設 科技庁通達
H11.9.18
(運転中)
取水口水位低下に伴う原子炉手動停止 全出力運転中、取水口の水位が低下し、原子炉補機冷却海水ポンプの出口流量が一時的に低下したため、原子炉補機冷却水温度が上昇し、これに伴い、減速材である重水の温度が上昇した。
重水温度が上昇し、「重水温度高」警報が発信し、更に上昇傾向を示したことから、原子炉を手動停止させた。
(警報動作により発見)
(その他)
・取水口の水位低下は、一度に大量のクラゲが流入したため、一旦海水除塵装置が自動起動したものの、過負荷により停止してしまったため、クラゲが排出できなくなり、取水口水位が低下した。
取水口水位が低下したため、原子炉補機冷却海水ポンプの出口流量が一時的に低下し、原子炉補機冷却水温度が上昇して、減速材である重水の温度が上昇した。
海水除塵装置を水位差が小さい段階から運転する。
夏季は除塵装置の自動運転の間隔を短くし、装置に付着したクラゲをできるだけ早く除去する。
海水除塵装置の塵芥処理ピットに照明を設置し、夜間の監視を強化して、異常時の対応に万全を図る。
共通設備 炉規法
通産省通達
H11.10.27
(運転中)
シールプラグ機能低下原因調査のための原子炉手動停止 全出力運転中に、シールプラグからの原子炉冷却材の漏えい量が増加し、漏えいしているシールプラグを特定後、原因調査のために原子炉を手動停止した。
(警報動作により発見)
(その他)
前回定期検査時にシールプラグを圧力管に装着した際に、クラッドが圧力管シール面とシールプラグのシールエレメントの間に挟み込まれてシール面に傷をつけた。
運転中に傷を埋めていたクラッドが脱落し、漏えい量が増大した。
圧力管シール面を磨いて傷を除去した。
「リーク検出器漏えい量大」警報発信時の手順を明確にするとともに、「漏えい量注意」の警報を追加設置した。
原子炉本体
(シールプラグ)
炉規法
通産省通達


帯
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