第6章 「ふげん」の運転実績

帯

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発生年月日
件   名
概    要
原    因
対    策
系統設備
報告根拠
S61.2.13
(事故停止後の出力上昇中)
「蒸気ドラム水位低低」による原子炉自動停止
原子炉出力を上昇中、蒸気ドラム水位を手動で調整していたところ、原子炉出力約15%で蒸気ドラム水位が低下し、(B蒸気ドラム水位低低1(NWL−230mm)」により原子炉が自動停止した
(操作時に発見)
(その他)
・蒸気ドラムの水位が低下したことを給水の注入によるボイドのつぶれによる一時的な低下と判断し、低流量調節弁を十分に開操作しなかったため
・低出力領域における運転操作にあたっては、自動制御を基本とすること及びプラントプロセス量を的確に把握すること等を運転手順書に加えた。
・運転員に対し、今回の事象の分析結果、プラント特性、低出力領域における運転操作等に関する教育を実施
・低流量給水調節弁の開度記録を中央盤に表示し、補助的な監視を行えるように改善
 
炉規法
通産省通達

〔62年度〕
S62.10.2
(計画停止中)

燃料交換作業時の不具合 燃料装荷中、手動操作にて燃料交換機内に収容しようとしたが、シールプラグと燃料交換機グラブの分離ができなかった。 このため、治具によりシールプラグとグラブを分離させ、シールプラグの状態を確認したところ、正規の装着位置付近でシールプラグガイドヘッド部が圧力管と固着しているものと推定された。 また、燃料交換機の機能点検を行ったところ、グラブがスナウト頂部より下降しなかった。
(操作時に発見)
(設備不備)(施工不完全)
・シールプラグ固着の原因は、シールプラグガイドヘッド部のウェアリングと圧力管との間隙にクラッドが入り込んだため
・燃料交換機については、グラブ手動駆動軸に設置されているトルクリミッタが摺動面の発錆により設定の値で動作しなかったため
・シールプラグ脱着時にはウェアリングと圧力管の間隙に復水を流す手順とした。・長期間使用したシールプラグは、点検
・整備をした後に使用することとした。
・手動駆動系トルクリミッタについては、定期検査時及び使用時において機能試験による設定値の確認をすることとした。
原子炉本体
(シールプラグ)
炉規法
電事法
〔63年度〕
S63.6.27
(調整運転中)
補助蒸気管安全弁の損傷に伴う復水器真空度低下による原子炉自動停止

電気出力約35% (58MW)で運転中、発電機出力が52MWまで低下した。その後、復水器真空度が低下し始め、更に低下傾向を示したため、出力を手動で降下させ発電を停止した。 発電停止後も真空度の低下傾向は続き「復水器真空度低低1」により、原子炉が停止した。
(操作時に発見)

(設備不備)(製作不完全)
・発電機出力の低下は、空気抽出器駆動用補助蒸気調整弁のエアーロック弁の上部ダイヤフラムの亀裂及びOリング部の変形により制御用空気漏れが生じて全開となり、ラインの蒸気圧力上昇→安全弁作動→蒸気流量減少となったため
・復水器真空度の低下は、安全弁が動作した際、当該弁のロックスクリュウが長期間の運転により緩んでいたため脱落し、安全弁が吹き止まった時に脱落した穴から復水器へ空気が吸い込まれたため
・エアーロック弁を新品と交換
・エアーロック弁の取替頻度を上げることとした。
・安全弁のロックスクリュウの脱落防止対策を実施
・今後、定期的にロックスクリュウ等の締付状態の確認、腐食、損傷の無いこと等を確認することとした。
タービン設備 炉規法
電事法
〔元年度〕
H元11.6
(運転中)
「主蒸気止弁閉」による原子炉自動停止 定格出力運転中、主蒸気止弁が閉となったため、「主蒸気止弁閉」の信号により原子炉が自動停止した。
(警報動作により発見)
(設備不備)(製作不完全)
・タービン制御油系の非常油圧低タイマーリレーの一時的な接触不良によりインターセプト弁が急閉し、その復帰時において非常油圧系統の瞬時的な圧力低下が生じたため、主蒸気止弁の開度が2弁とも90%以下となったため
・当該タイマーリレー及び同型式のタイマーリレー(3個)を、従来の輸入品から国産の新品と交換
・また、他の系統についても密閉構造であって、かつシリコーンゴムを使用しているタイマーリレーは使用していないことを確認
タービン設備 炉規法
通産省通達
〔2年度〕
H2.10.21
(運転中)
「蒸気ドラム水位高高」に伴う原子炉自動停止

定格出力運転中、「給水制御装置異常」の警報が発生し、給水流量調整弁がロック状態となっていること、原子炉給水ポンプミニマムフロー弁が「開」となっていること及び蒸気ドラム水位が低下傾向にあることが確認された。 このため、原子炉出力を降下し、蒸気ドラム水位を安定させるために必要な操作を行ったが、「B蒸気ドラム水位高高」の信号によりタービンが自動停止し、これに伴って原子炉が自動停止した。(警報動作により発見)

(故意・過失)
(作業者の過失)
・給水流量調節弁がロック状態となったのは、定期試験である「制御用空気設備及び雑用空気設備のドレンチェック」において、ドレンチェック対象箇所の表示方法、定期試験手順書等に不十分な点があったため、通常はドレンチェックを行わない制御用空気ヘッダの閉止用キャップを取り外したことにより制御用空気圧が低下したため
・原子炉自動停止は、制御用空気圧力の回復に伴う給水流量調節弁の状態復帰によって給水流量が変化し、これに伴って蒸気ドラムの水位変動が生じたことによる
・ドレンチェック対象ヘッダに表示板を取り付け、対象箇所を明示した。
・制御用空気ヘッダ閉止用キャップの取り外し防止措置として制御用空気ヘッダの閉止用キャップに金属製カバーを取り付け
・当該定期試験手順書の見直し・運転員教育についてヒューマンエラー等に関する内容の充実化とOJTによる教育の強化等を図った。
・本社及び発電所が一体となり、ヒューマンエラーの発生防止対策に取り組むための組織を設置し、発電所の信頼性向上並びに安全の確保に努めるよう安全管理体制の充実を図った。
計測制御系統設備 炉規法
通産省通達


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