第6章 「ふげん」の運転実績

帯

6


発生年月日
件   名
概    要
原    因
対    策
系統設備
報告根拠
S59.12.16
(運転中)
「重水温度高高」による原子炉自動停止
定格出力運転中、原子炉補機冷却系の重水温度調節弁の一時的な動作不調により冷却水が減少したため、重水温度が上昇して「重水温度高高」のスクラム設定値に達し、原子炉が自動停止した。
(警報動作により発見)
(設備不備)(製作不完全)
・重水冷却器出口温度調節弁(CV37−12)の空気操作部等の駆動部への一時的な異物のかみ込み等が発生したため
・重水温度調節弁を分解点検・整備
・当該弁の点検頻度の見直し
原子炉補助系統設備
炉規法
通産省通達

S60.1.17
(定期試験中)

定期試験における主蒸気隔離弁の動作不良 電気出力約74MWで、原子炉施設保安規定に基づく主蒸気隔離弁の定期試験のため、A主蒸気隔離弁の急閉操作を行ったところ、急閉動作せず、緩閉操作では全閉となった。 (設備不備)(施工不完全)
・急閉動作する電磁弁(SV−4)のパイロット弁と本体との間にグリースの劣化物が付着し、これによりパイロット弁の動作不良が生じたため
・当該電磁弁を予備品と交換
・電磁弁の点検時は、より入念な分解
・点検を行うとともに、組み立て時には異物混入防止を図ることとした。
原子炉冷却系統設備 科技庁通達
〔60年度〕
S60.10.16
(定検中)
タービン建屋における火災

第5回定期検査期間において、中央制御室にてタービン建屋の火災警報が発生したため、現場確認を行ったところ、復水器付近において火災の発生を確認した。 このため、初期消火を行い、鎮火した。
(焼損面積約1.4m2
(警報動作により発見)

(その他)
・主復水器内部点検作業のための仮設照明(24V照明)用電工ドラムのケーブルを、ほぼ全長巻き取り状態で使用していたため、電工ドラムが過熱し、発煙・炎上に至ったもの
・電工ドラムを使用せず、専用の変圧器及び配線を行った。
・仮設電気設備の使用について、安全教育の徹底、管理体制の改善を図った。
・仮設電気機器の総点検を実施し、不良品については廃棄及び補修を実施
  科技庁通達
電事法
S60.11.9
(定検中)
新燃料移送中における新燃料集合体の損傷 第5回定期検査の燃料装荷の一環として、新燃料集合体(照射用36本燃料集合体)を燃料移送機で移送中、新燃料集合体が燃料受渡しプール内の移送容器レバーと接触した。このため、当該新燃料集合体を水中燃料検査装置により点検したところ、打痕及び曲がりが確認された。
(操作時に発見)
(保守不備)(保守不完全)
・燃料移送機のつかみ具(グリッパ)の位置調整不良のため
・当該新燃料集合体は打痕及び曲がりが基準値を満足していないため、今サイクルでは炉心への装荷は行わないこととした。
・燃料移送機については、グリッパ位置の再調整を実施
・燃料移送機のグリッパ位置調整不良防止対策として、調整基準位置の明示、調整後の相対及び絶対位置の確認、点検後の運転操作担当課のダブルチェックを確実に行うこととした。
原子炉本体(燃料集合体) 炉規法
通産省通達
S60.12.18
(定検後の出力上昇中)
定期検査中における原子炉自動停止

第5回定期検査において、熱膨張試験及びタービン・発電機の起動試験を行うため、原子炉を起動し、原子炉出力約8%において原子炉運転モードスイッチを「起動」から「運転」に切り換えたところ、原子炉が自動停止した。
(警報動作により発見)

(保守不備)(保守不完全)
・運転モードスイッチが「運転」において、原子炉自動停止の条件の一つである「主蒸気止め弁閉」の信号を、原子炉の低出力時に解除する「タービン第1段落蒸気室圧力低」の検出用リレーに接触不良が生じ、「主蒸気止め弁閉」の信号が解除されなかったため
・「タービン第1段落蒸気室圧力低」の検出用リレーを予備品と交換
・念のため、原子炉運転モードスイッチを「起動」から「運転」に切り替えることにより原子炉自動停止条件を成立させ得る信号回路のリレーも交換
計測制御系統設備 炉規法
通産省通達
S60.12.19
(調整運転
中)
落雷による原子炉自動停止

第5回定期検査の調整運転を開始し出力上昇中(原子炉出力約14%)であったが、一般計装MG電源系統が落雷による影響を受け、同電源に接続している「D−原子炉再循環ポンプ第1シール差圧低低」警報設定器の誤動作により原子炉再循環ポンプが停止したため、再循環流量が低下し、「再循環流量低低2」により原子炉が自動停止した。
(警報動作により発見)

(その他)
・モニタリングポストから主建屋まで結ぶ一般計装MG電源ケーブルは架空配線されており、落雷による誘導で異常電圧が印加され、「D−原子炉再循環ポンプ第1シール差圧低低」警報設定器が誤動作したため
・損傷した計装部品については、全て予備品と交換
・電源ヒューズが溶断していた機器については、ヒューズの交換を実施
計測制御系統設備 科技庁通達
通産省通達
S61.1.13
(運転中)
原子炉冷却材浄化系配管からの冷却材漏洩 定格出力運転中、発電所員の巡視点検において、タービン建屋地下1階の主蒸気管室にある原子炉冷却材浄化系配管下部の床面に、水漏れ(0.2m2程度)を発見した。点検の結果、配管溶接部近傍から微量の蒸気が漏洩していることを確認したため、同日原子炉を手動で停止した。
(巡視点検により発見)
(設備不備)(製作不完全)
・オーステナイト系ステンレス鋼の粒界型応力腐食割れ
・配管漏えい部の材料をSUS304から耐SCC性に優れたSUS316Lに取り替えた。
・原子炉冷却材浄化系配管において、超音波探傷試験で異常エコーが検出された部分をSUS304からSUS316Lに取り替えた。
・SCC対策の未施工箇所について、今後計画的に、SCC対策を実施するとともに供用期間中検査を強化していく。
原子炉冷却系統設備 炉規法
電事法


帯
71

前頁

目次

次頁