第5章 「ふげん」の建設

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図5.5.2 最小臨界達成時の中性子束記録

装荷され、昭和53(1978)年3月15日に燃料装荷を開始し、同月20日、MOX燃料22体で最小臨界が達成された。
 昭和53年4月16日、MOX燃料96体と特殊燃料4体による100体炉心が構成された。その後UO2燃料が順次装荷され、同年5月1日、224体の全燃料の装荷が完了した。
() 臨界試験
 臨界試験は、最小臨界試験、100体燃料装荷臨界試験及び初臨界試験(全燃料装荷臨界試験)を実施し、核設計精度の妥当性を確認した。
 最小臨界試験は、燃料装荷により臨界近接を行い、次に制御棒を引き抜くことにより臨界近接を行うこととした。22体の燃料装荷後、制御棒による臨界近接により、昭和53(1978)年3月20日14時49分最小臨界が確認された。最小臨界達成時の中性子束の記録を図5.5.2に示す。最小臨界燃料体の予測値は、20±3体であり、良好な評価であることを確認した。また、224体の全燃料装荷後の初臨界試験は、過剰反応度を吸収するため、重水中に投入されたホウ酸濃度の調整により行い、過剰反応度が設計値を満足することを確認した。
() 炉物理試験
 臨界試験に引き続き、炉物理特性試験を行うこととして、制御棒反応度測定試験、ポイズン(ホウ酸)反応度測定試験、停止余裕試験及び重水水位降下に
  よる炉停止確認試験を実施した。
 「ふげん」の制御棒は、49本あり、その代表的な制御棒について制御棒反応度価値を測定した。全燃料装荷炉心における最大制御棒価値は、0.4%Δk/kであった。
 停止余裕試験では、最大の反応度価値を有する制御棒が、全引抜き状態で未臨界にできることを確認した。
(2)核加熱試験
 大気圧試験により炉物理特性が、設計値を満足することを確認したあと、核加熱が、開始され、一次冷却材が約280℃まで加熱された。核加熱試験により温度係数測定試験、高温待機状態における化学及び放射線レベル測定試験、制御棒駆動系のスクラム特性試験を行い、設計を満足する結果を得た。また、核加熱時の原子炉冷却系、重水・ヘリウム系、タービン発電機系等のプラント機器の性能試験を行い、設計値を満足することを確認した。
(3)出力試験
 核加熱試験による性能確認のあと、「ふげん」は、昭和53(1978)年7月29日に送電系統への初併入により、出力試験段階を迎えた。
 出力試験は、25%、50%、75%、100%の各出力段階ごとに、出力係数等の炉心性能の確認、放射線レベル等の測定による遮へい特性の確認、給水制御系等の制御特性の確認、負荷遮断等のプラントトリ


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