第5章 「ふげん」の建設

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しながら試験を進めることとした。
 起動試験工程は、新型転換炉の開発過程において実験炉段階を省略した原型炉であることなどを考慮して約1年の試験期間とした。なお、100%出力達成後、機器類の運転状態の確認のため、約1か月間の機器分解等の自主点検を計画した。

5.5.2 実施体制
 起動試験実施体制は、設置者である動燃が主体となって試験を遂行し、メーカー5社はそれぞれ納入した設備に関する試験について支援するという形態で参加した。
 起動試験の実施組織は、敦賀建設事務所〔本格運転開始後の昭和54(1979)年4月より新型転換炉ふげん発電所と改称〕を主体に、設計及び開発に携わった新型転換炉開発本部、大洗工学センター及び計画管理部の協力の下に編成した。
 起動試験の実施にあたり、全試験の計画・実施の管理調整と官庁検査対応のため、技術課に試験管理班を設け、関係課と調整するとともに、各種会議を通じて試験の円滑な実施を図った。
  5.5.3 実績工程
 起動試験は、昭和53(1978)年3月15日の燃料装荷開始に始まり、54年3月20日の総合負荷検査をもって約1年間にわたる(起動)試験を完了した。
 起動試験は、計画に従い、大気圧試験、核加熱試験、出力試験(25%、50%、75%、100%)の各ステップごとにプラント性能の確認及び機器類の点検を行いながら試験を進めた。実績工程を図5.5.1に示す。

5.5.4 試験結果
 起動試験の結果、予測解析及び設計値を十分満足しており、安全運転ができることを確認した。
(1)大気圧試験
 大気圧試験では、燃料装荷による臨界試験及び原子炉特性を把握するための炉物理試験を実施した。
()燃料装荷
 「ふげん」の初装荷炉心燃料配置は、炉心中央部にMOX燃料96体、炉心周辺部にUO2燃料128体の装荷で構成された。UO2燃料のうち4体は、圧力管材料監視試験片を組み込んだ特殊燃料であった。
 燃料装荷に先立ち中性子源(Cf−252、0.3Ci)が


図5.5.1 起動試験実績行程


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