第5章 「ふげん」の建設

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ル、メタクラなどを据付け、同50年7月14日から受電を開始した。引き続いて、主要変圧器、ディーゼル発電機等の設備の据付けを行った。
 また、77kV系統設備については、予備変電設備として昭和50(1975)年6月に完成し、工事用電力を受電してきたが、「ふげん」完成時には、予備電源として使用することとした。
(11)燃料集合体
 初装荷炉心は、()ウラン(UO2)燃料124体(濃縮度1.5%)、()プルトニウム富化天然ウラン(MOX)燃料96体(燃料体の内側:プルトニウム富化度0.8%、燃料体の外側:プルトニウム富化度0.55%)、()特殊燃料4体の合計224体から構成された。
 ウラン燃料は、予備を含めて130体を原子燃料工業(株)が製作し、プルトニウム富化天然ウラン燃料は、予備を含めて100体を動燃東海事業所で製造した。特殊燃料(圧力管照射試験片内蔵)は、予備を含めて6体を原子燃料工業(株)が製作した。
(12)重水
 減速材の重水約160トンは、昭和51(1976)年12月及び同52(1977)年1月の2回に分けてサイトに搬入し、同52年11月から12月にかけて「ふげん」に装荷した。


5.4 総合機能試験1)
5.4.1 試験計画
 総合機能試験は、プラントを構成する各系統設備全般にわたって、それらの系統の機能及び性能が設計どおりの仕様を満足していることを確認し、原子炉に燃料装荷が可能となる条件を確立するものである。
 試験項目の決定にあたって、基本的には先行軽水炉に準じているが、「ふげん」特有の系統として「重水・ヘリウム系」、「燃料交換装置を含む燃料取扱設備」等の未経験分野の試験もあったため、試験要領書の検討等も含め、総合機能試験ワーキンググループを主体に関係箇所の協力を得て実施した。本ワーキンググループによってまとめられた試験計画は、系統数86、試験項目300余に及んだ。
 重水・ヘリウム系の試験にあたっては、軽水試験のあと、十分な乾燥を行い、重水装荷後、重水による機能試験を実施することとした。

  5.4.2 実施体制
 実施体制は、将来発電所体制になったときプラントの運転を担当する発電課を主体とした総合機能試験ワーキンググループを組織して計画を進めた。ワーキンググループは新型転換炉開発本部、敦賀建設事務所及びメーカー5社により構成され、試験の実施にあたっては、将来のプラント運転・保守の業務主体等を考慮し、各系統ごとに試験実施主体を定めて実施した。また、「ふげん」の設計及び建設に携わってきたメンバーを含めて試験を行うことにより、試験に伴う技術的懸案事項の解決を迅速に行うこととした。

5.4.3 試験結果
 総合機能試験は、主として各系統設備のインターロック及び警報試験、系統運転試験を中心として、昭和52年3月(本格的開始は同年7月)に開始された。これにより燃料装荷、起動試験への移行準備が整い、設計どおりの機能を確認した。そして、53年3月にスケジュールどおりすべての試験を終了した。
 なお、昭和50(1975)年頃にカナダのピカリング発電所(CANDU−PHW)で発生した圧力管の水素遅れ割れ(Delayed Hydrogen Cracking : DHC)に関連して、「ふげん」の圧力管についてもDHC発生の予防対策のため残留応力除去の開発試験を行い、その効果を確認したあと、下部ロールドジョイント部の残留応力除去作業を実施した。

参考文献
1)_照沼誠一:“新型転換炉原型炉「ふげん」の総合機能試験”、動力炉技報、No.36、p.80、(1980)


5.5 起動試験1)-4)
5.5.1 試験計画
 「ふげん」は、我が国はもちろん、世界初のプルトニウム利用を主体にした発電用重水減速沸騰軽水冷却型原子炉であることから、「ふげん」特有の炉心特性、重水・ヘリウム系統、制御方式、設備等の特徴を考慮し、類似した原子炉冷却システムをもった沸騰水型軽水炉(BWR)の起動試験内容を参考として、綿密に検討して立案した。
 起動試験項目は、大別すると炉物理試験、プラント機器性能試験、プラント動特性試験、化学及び放射線測定試験、総合試験に分類され、これらを大気圧試験、核加熱試験及び出力試験の順に性能を確認


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