第3章 「ふげん」の設計

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容器内部スプレー系及び原子炉格納容器空気再循環系が設けてある。この空気再循環系は格納容器内の空気温度の調節にも使われる。
 なお、原子炉格納容器内の空気を換気するため、原子炉建屋空気送風設備及び排気設備が設置してある。

3.5.9 核計装と原子炉制御
 原子炉出力は、出力に応じて炉心内に配置した各中性子モニター(起動領域モニター、中間領域モニター、出力領域モニター)によって測定される。
 原子炉の反応度を制御する機構は、制御棒、減速材(重水)中のポイズン(ホウ素)濃度調整及び重水ダンプの3種類がある。原子炉の起動、停止及び負荷変動に対する出力制御は、制御棒と一部ポイズン濃度調整が分担し、燃料の燃焼に伴うゆっくりした反応度変化に対しては、ポイズン濃度調整を使用する。
 重水ダンプは、緊急停止時のバックアップ用として用い、通常は使用しない。
 49本の制御棒は、ボロンカーバイド(B4C)粉末を詰めた細いステンレス鋼管を円環状に束ねた構造で、原子炉本体の上方部に設置された駆動装置によ

  ってワイヤでつるされ、案内管中を通して炉内の重水中に出し入れされる。なお、このカランドリア炉心タンク内の重水は、ほぼ大気圧に近い圧力に保たれている。
 原子炉スクラム時には、全制御棒は重力により炉内に挿入される。
 原子炉運転の初期の段階では、燃料の燃焼が進んでいないため、炉心が持っている反応度が大きい。このため余分の反応度は、中性子吸収の大きいホウ素を添加して制御し、燃料の燃焼に応じてこのホウ素をイオン交換樹脂塔で除去して濃度を減少させる。
 重水ダンプは、減速材水位を急速に低下させて炉を停止させる方法で、原子炉冷却系の破断事故や地震などの場合に制御棒のバックアップとして作動する。

3.5.10 タービン・発電機設備
 タービンは、高圧タービン1基と低圧タービン2基から構成され、発電機と一体となって串形(タンデム・コンパウンド)に配列されている。
 タービン・発電機設備の概略を写真3.5.2と図3.5.9に示す。
 原子炉で発生した蒸気と水の混合二相流は、蒸気



写真3.5.2 タービン室


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