第3章 「ふげん」の設計

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3.5.7 非常用炉心冷却系設備
 非常用炉心冷却系設備は、万一、原子炉冷却系の配管が破断して冷却材喪失事故が起っても燃料被覆管の健全性を損なわないように設計されている。
 非常用炉心冷却系設備概略を図3.5.8に示す。
 本設備は急速注水系、高圧注水系及び低圧注水系の3設備からなり、原子炉冷却系の配管のいかなる破断に対しても有効に作動するとともに各系統とも独立した2系統からなり、仮に1系統が故障しても、もう1系統で十分な冷却能力をもっている。
 急速注水系は、原子炉冷却系配管が破断した場合に高圧注水系及び低圧注水系が作動するまでの間注水するもので、常時加圧された蓄圧器内の水が下部ヘッダーに注水される。
 高圧注水系は、原子炉冷却系配管の中小破断事故の場合に蒸気ドラム内の減圧を早め、低圧注水系の作動を促進するために注水される。
 低圧注水系は、原子炉冷却系配管の大破断事故の場合に下部ヘッダまたは蒸気ドラムに注水する。
 また各系統の電源はすべてそれぞれ独立した非常

  用母線に接続され、外部電源が喪失した場合でもその機能に支障をきたさないように設計されている。

3.5.8 原子炉格納施設
 原子炉格納施設は、原子炉施設の主要な設備を格納するとともに円筒形の密閉鋼製格納容器とその周囲にコンクリート璧を設け、その間に、アニュラス部を形成して二重構造としている。このアニュラス部は、排風機により負圧に保たれる。また格納施設は事故時の放射性物質の飛散による従業員及び周辺の居住者の放射線被ばくを防ぐことができるように設計されている。
 原子炉格納容器への人の出入口用として2個所にエアーロックが設けられ、そのうち1個は機器搬出入口に取付けられている。補修工事などに大型機器の搬入を必要とするときは、この機器搬出入口を利用する。
 原子炉冷却材喪失事故などの際に、原子炉格納容器内の圧力上昇を防いで外部への放射性物質の放散を防ぐため、格納施設補助設備として、原子炉格納




図3.5.8 非常用炉心冷却系概略図


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