第2章 「ふげん」プロジェクトの誕生

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は〜200 MWe、原型炉建設を含む開発費は 450〜650億円と見積もられた。

2.1.3 原子力委員会の「動力炉開発の基本方針について」の決定
 原子力委員会は、動力炉開発懇談会における審議と提起された問題点を考慮して、将来における日本のエネルギーの安定供給とエネルギーセキュリテイを重視し、「国内における核燃料サイクルの確立を基本に、“動力炉開発の基本方針”を策定する」との方針を採った。そして、昭和41(1966)年5月18日、「動力炉開発の基本方針について」を内定した。
 この原子力委員会の内定により、下記の基本計画が決定され、ここに、新型転換炉の開発が決定した。そして、軽水炉技術が活用できる重水減速沸騰軽水冷却炉を対象に開発を進めることが示された。

 (1)基本となる考え方
  原子力発電は、我が国のエネルギー供給の有力な担い手となるもので、実用化は経済原則に従って進める。
  核燃料サイクルの確立に努め、その早期の実現を期するため、政府は必要な政策の決定、推進を図る。
 (2)動力炉開発の進め方
  核燃料政策
    核燃料サイクルの確立を図る。プルトニウムは、高速増殖炉への利用を最終目標にするが、当面熱中性子炉への利用を図り、その利用技術の実用化は昭和50(1975)年を目途に推進する。
  動力炉の開発
    動力炉の開発は我が国のエネルギー政策上の重要な課題であるので、可能な限り、自主的な開発を行う必要がある。
  ・高速増殖炉の開発
    基礎的技術の蓄積を図るとともに、国際協力も行って自主的開発の効率的推進を図る。実験炉は昭和40年代の半ばまでに、原型炉は40年代の後半に建設に着手する。
  ・新型転換炉の開発
    重水減速沸騰軽水冷却炉を開発の対象とする。昭和40年代の半ばまでに原型炉の建設に着手する。
  ・在来炉の開発
燃料と安全性の研究開発及び国産化の促進に必要な措置を講ずる。

 さらに、昭和41(1966)年6月23日、衆議院科学技術振興対策特別委員会において、動力炉開発について審議が行われ4)、また、同年9月7日、産業界から動力炉開発に関し、開発体制の整備、資金、法的整備などについて要望書が出された5)

2.1.4 動力炉開発臨時推進本部の活動 6), 7)
 昭和41(1966)年6月2日、原子力委員会は、“動力炉開発の基本方針”に則って、責任をもって動力炉開発を推進する新特殊法人が設立されるまでの期間、動力炉開発臨時推進本部を原研内に設置することと、同本部の構成・業務内容などを決定した。
 動力炉開発臨時推進本部は、新型転換炉関係に14の専門小委員会を設置し、100回を超す審議を行い、新型転換炉開発の重要事項及び原型炉の設計構想を固めて行った。すなわち、
(1)新型転換炉長期開発計画を策定し、原型炉臨界までの開発費を合計660億円と見積もった。
(2)新型転換炉の開発意義付け
 当時、濃縮ウランを商業ベースで供給できるのは、アメリカ以外考えられないと世界的に認識されていたこと、及び自由諸国の安価なウランの確認埋蔵量が〜60万ショート・トンと評価されていたことを前提に天然ウラン供給で稼働することとプルトニウムで利用することが、我が国のエネルギーセキュリテイを向上する観点から重視された。そして、新型転換炉の役割と開発を次のように具体化した。
 「高速増殖炉が実用化されるまでは、自己の使用済燃料から抽出されるプルトニウムを天然ウランに富化して実質天然ウラン供給で稼働するプルトニウムセルフサステインサイクルで稼働し、高速増殖炉が実用化されると天然ウランで稼働させて使用済燃料から抽出されるプルトニウムを高速増殖炉に供給し、エネルギーセキュリテイの向上に寄与する。」
(3)原子力産業5グループによる原型炉設計構想の提案
 各社ごとに最良と考えた原型炉構想を基に、原型炉設計基本構想をまとめるため、原子力産業5グループに原型炉構想の提案設計を発注した。
(4)大型開発試験施設の検討
 大型開発試験施設については、
メーカーが性能を保証できない原子炉性能の検


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