国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高圧氷に新たな秩序状態を発見
~ 氷の五大未解決問題の一つを解決 ~

発表者:

小松 一生 (東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設 准教授)

則竹 史哉 (研究当時 東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設 特任研究員、
現 東京工業大学物質理工学院材料系 矢野・松下研究室 日本学術振興会特別研究員PD)

町田 真一 (一般財団法人 総合科学研究機構 中性子科学センター 研究員)

佐野 亜沙美 (国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター 副主任研究員)

服部 高典 (国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター 主任研究員)

山根 崚 (東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設 修士課程大学院生)

鍵 裕之 (東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設 教授)

発表のポイント:

発表概要:

我々の身の回りでもっとも身近な結晶とも言える氷ですが、今でも解決されていない多くの研究課題があります。氷には17種類もの多形(異なる構造の氷)があることが知られていますが、高圧低温状態で現れるとされる氷XV相の構造と性質には多くの矛盾があり、氷の未解決問題の一つとなっていました。東京大学大学院理学系研究科小松一生准教授、鍵裕之教授らの研究グループは日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター、総合科学研究機構 中性子科学センターとの共同研究で氷XV相の低温高圧下で中性子回折の直接観察を行い、氷XV相が異なる水素配置を持つ複数のドメインからなる部分秩序相であることを明らかにしました。この結果は氷XV相に関する過去の研究の矛盾点を解消でき、さらに、氷の多形において秩序相、無秩序相に加え、部分秩序相という第3の状態を考慮に入れる必要があることを示唆するもので、氷研究におけるパラダイムシフトとなる可能性があります。

参考部門・拠点: J-PARCセンター

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