平成27年10月9日
東京工業大学
日本原子力研究開発機構
高輝度光科学研究センター
早稲田大学
中央大学
学習院大学
東京工業大学応用セラミックス研究所の東正樹教授、于潤澤博士研究員、北條元助教らの研究グループは、ペロブスカイト(用語1)型酸化物PbCrO3(クロム酸鉛)の価数分布が、50年間信じられてきたPb2+Cr4+O3ではなく、「Pb2+0.5Pb4+0.5Cr3+O3」であることを発見した。放射光X線と電子顕微鏡を用いた解析で50年来の謎を解いた。
PbCrO3は2価の鉛と4価の鉛が長距離秩序(用語2)を持たず、乱雑に存在する「電荷グラス」という状態を持つ。また、圧力下ではPb4+とCr3+の間で電荷の移動が起こり、10%もの体積収縮を伴ってPb2+Cr4+O3へと変化することも突き止めた。同様の変化を示すBiNiO3(ビスマス・ニッケル酸化物)は、改質することで巨大な負熱膨張(用語3)を示すため、PbCrO3を元にした巨大負熱膨張材料の開発も期待される。
同研究グループは東工大チームのほか、日本原子力研究開発機構の綿貫徹研究主幹、安居院あかね研究主幹、町田晃彦研究主幹、高輝度光科学研究センターの水牧仁一朗副主幹研究員、早稲田大学の溝川貴司教授、中央大学の岡研吾助教、学習院大学の森大輔助教、稲熊宜之教授で構成されるのに加え、東京大学、産業技術総合研究所、米国オークリッジ国立研究所、独国マックスプランク研究所、独国ユーリッヒ研究所が参画した。
研究成果は米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン版に掲載された。
参考部門・拠点: | 量子ビーム応用研究センター |