独立行政法人日本原子力研究開発機構

平成27年1月9日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

包括的核実験禁止条約(CTBT)に係る高崎希ガス観測所、東アジア沿岸国初の認証
(お知らせ)

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 松浦祥次郎、以下「原子力機構」という。)が高崎量子応用研究所内に設置し運用している放射性核種監視観測所(高崎観測所)において、2014年12月19日に包括的核実験禁止条約機関準備委員会(以下、「CTBTO」という。)から希ガス観測所として東アジア沿岸国で初めての認証を得ました。2011年の福島第一原発事故の影響等により認証作業が延期されていましたが、今般、核実験監視のための技術要件を満足する国際監視制度の施設としてCTBTOによる評価を経て認証されたものです。我国の監視観測施設の認証は本認証をもって全て完了し、国内監視体制が確立しました。なお、高崎観測所は、粒子状放射性核種に関する観測所としては、2004年に既に認証を得ています。

核実験検知を目的とするCTBT国際監視制度は、地震波、放射性核種、水中音波及び微気圧振動の4つの監視技術を用いた世界321カ所の観測所と16カ所の公認実験施設で構成され、現在その整備が進められています。観測データは世界的情報通信基盤によりウィーンの国際データセンター(IDC)を経由して各国の国内データセンター(NDC)へ配信され、核実験が実施されたか否かを解析・評価する仕組みです。核実験に際しては、地震波監視等による震源位置の特定と、大気中に放出された核爆発特有の人工放射性核種の監視により総合的な評価を行います。放射性希ガス(キセノン)の監視は、特に地下核実験の検知/同定に重要な役割を果たすことが期待されており、2013年4月に高崎観測所で複数のキセノン同位体を検知しましたが、その同位体比から同年2月の北朝鮮による地下核実験を起源とするものと同定されました。このように、高崎観測所はアジア地域の東端に位置するため、偏西風によって運ばれてくる放射性核種の観測にとって国際的に重要な拠点となっています。今回の認証により、これまで以上に安定した観測所の運用と高品質な観測データの提供が期待されています。

原子力機構では、CTBT国際監視施設として、沖縄観測所、高崎観測所、東海公認実験施設の運用、及び日本のNDCとして世界中の観測所網から送られてくるデータの解析評価と関連技術開発を実施しており、今後もCTBTによる国際的な監視体制の構築に寄与し、国際的な核実験禁止と国際核不拡散体制の確立に貢献していくこととしています。

参考部門・拠点: 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター

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