━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011.3.4 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
■□□□

++---- No.167 目次 ----++

現場から ____ 放射性炭素で描く環境中の炭素循環(原子力基礎工学研究部門)

広報誌から ___ 瑞浪超深地層研究所で掘り進めている主立坑の深さが、468mに達しました。(東濃地科学センター「地層研ニュース」2月号)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

放射性炭素で描く環境中の炭素循環−原子力基礎工学研究部門

当部門では、原子力施設に起因する放射性核種の環境中挙動と分布を最適に評価する研究の一環として、実測データと計算シミュレーションの融合手法により、放射性炭素(C-14)の分布と循環を明らかにする研究を進めています。C-14は、大気中窒素と宇宙線の核反応による自然起源ばかりでなく、人為起源として原子力活動(原子力施設、核実験など)に伴って環境へ放出され、有機物循環に取り込まれて生態系内に広範囲に分布するため、環境影響評価における主要な放射性核種となっています。一方ではC-14は5730年という半減期を持ち、環境中で固定されてからその半減期で濃度が減衰するため、物質移行の時間と速度の情報を与える化学トレーサとして広く利用されています。従って、環境中のC-14の分布と循環を把握することは環境影響評価に役立つばかりでなく、C-14を化学トレーサとした炭素循環研究を通じて地球温暖化予測の鍵となるプロセスの解明に貢献します。

近年、C-14のような長半減期の放射性同位体を分析する装置として、タンデム型加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析装置(Accelerator Mass Spectrometer:AMS)が開発・改良され、C-14を化学トレーサとした様々な環境科学研究が飛躍的に発展しました。この新たな装置により、β線計測などの従来の放射線計測法に比べて、少ない試料量、短い前処理・測定時間で、精度良くC-14を測定することができるようになりました。当部門では、青森研究開発センター及び東濃地科学センターに設置された、異なった特徴を持つ2機のAMSを有効に利用することにより、多岐に渡り未解明な部分が多い森林・河川・海洋環境におけるC-14循環、及びそれを利用した炭素循環(あるいは物質循環)を明らかにする研究を進めています。

これまでに海洋環境では、ロシア側海域を含めた日本海の広範囲においてC-14の3次元分布データを取得・解析し、日本海の水塊構造と海水循環の全体像を初めて明らかにするとともに、海水中有機物の年齢の決定とその変動因子の推定を行いました。また森林環境では、土壌表面から放出される二酸化炭素の各起源(植物の根呼吸、微生物による落葉・落枝分解及び土壌有機物分解)の寄与率と深度分布を明らかにするとともに、土壌有機物の滞留時間を有機物の物理的・化学的性質と関連付けて初めて定量的に評価しました。これらの環境科学研究では、日本海や岩手県安比森林気象試験地などの研究対象地域へ実際に行き、様々な現地観測や実試料の採取を行うことが他分野の研究とは異なる特徴であり困難な作業となっています。特に、日本海のロシア側海域は再調査することは非常に困難なので、綿密な計画と慎重な観測・試料採取が多大な苦労となります。

今後は、これまでの研究で培った分析・評価法を広く展開し、近い将来に本格稼動が予定されている青森県六ケ所村再処理施設の周辺地域の様々な生態系における放出実態に対するC-14の蓄積・再放出の詳細評価を実施するとともに、国内の主要な森林における土壌有機物分解の温度応答の解明及びモデル開発に資するデータベースの構築を行う予定です。また、陸域−沿岸域における炭素循環研究として、小河川の集水域を対象として、森林生態系・土壌におけるC-14循環機構、森林土壌から河川を通じて河口・沿岸域への流出機構を明らかにしていきます。ここでは特に、放射性核種の輸送媒体として有機物の挙動と役割をより正確に把握する研究を進めていきます。

(原子力基礎工学研究部門 環境動態研究グループ)

━ 広報誌から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報誌などからトピックスを紹介します。

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この時期は暖かいかと思ったら、翌日は凍えるほど寒かったりと健康の維持管理がとても大変です。春と冬の根競べといった感じでしょうか。

ここ最近は、毎朝苦労していた車のガラスの霜も付かなくなって随分と楽になったと感じています。

また、テレビではプロ野球のオープン戦や花粉の飛散情報などが放送されていて、いよいよ春なんだなあと思っています。

幸い、私は今のところ花粉症に悩むことはありませんので、春の到来に伴って気分も晴れやかになります。

雪国の方々にはまだまだ遠いかもしれませんが、皆さんはどんなことで春を感じていらっしゃるでしょうか。(広報課 山農宏之)

------------------------------------------------------------------------------------

【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

---------------------------------------------------------------------------○-------

【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行  ○

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━o━━o○━━━━━━━━━━━━

戻る