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平成21年5月18日

信頼性の高い核種移行データベースの開発について
−安全な地層処分の実現に向けて−
(お知らせ)

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長・岡ア俊雄,以下,「原子力機構」という。)地層処分研究開発部門では,高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る基盤研究開発の一環として,安全評価上の重要なデータベースの開発を進めております。今回,処分事業や安全規制の活動において重要な役割をもつ実用性の高い放射性核種の移行に関するデータベースを開発し,平成21年3月末に当機構ホームページ(http://migrationdb.jaea.go.jp/)上に公開しました。

高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価においては,人工バリアや天然バリア中での放射性核種の動きをその地質環境条件下で予測します(補足説明1参照)。この予測には,放射性核種の収着や拡散に関するデータが不可欠となります。これらに関しては,すでに国内外で数万件にのぼる膨大な実測データが蓄積されていますが,原子力機構では世界で初めて,これら各データにそれぞれ信頼度情報を付加し,信頼性の高い予測を可能とするデータベースを開発しました。

今回開発した「収着データベース」(JAEA-SDB)及び「拡散データベース」(JAEA-DDB)には,人工バリアと天然バリアに対する様々な核種の約24,000件の収着分配係数データ,約2,800件の拡散係数データが含まれています(補足説明2参照)。これら膨大なデータは,様々な条件と手法のもとで取得されたものであり,実用にあたっては信頼性の高いデータを抽出することが重要となります。このような観点から,原子力機構は日本原子力学会標準等も参考にして,信頼度評価ガイドライン(補足説明3参照)を策定しました。これに基づき,必要性の高いデータについては一部海外の専門家の協力も得て,データ一つ一つの信頼度情報を付与しました。このような信頼度情報を付与したデータベースは世界で初めてとなります。また,実際の環境条件が与えられた場合に,その条件に対応する信頼性の高いデータの抽出・設定を支援する機能も付加しています(補足説明4参照)。これにより,ユーザーが,追跡性及び透明性のある形で信頼性の高いデータ選定を行うことが可能となります。なお,本データベースは,放射性廃棄物の地層処分だけでなく,他の物質の地中における移行評価など環境保全分野においても活用することが可能です。

本データベースは,国内外のユーザーのため,日英対応のWebアプリケーションによるデータベースシステムとして整備し,ホームページを通じて誰もが利用することができます。今後,更に核種移行関連の各種データベースの拡充・更新を恒常的に行っていく計画です。

以上

参考部門・拠点:地層処分研究開発部門

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