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配管等からの漏えいの直接原因
96箇所の漏えい箇所の内、最も多かったのは、発生部位では配管継手部で53箇所、設備別では廃液処理設備の48箇所であった。これらについて、漏えい継手部の分解、熱応力解析等を実施し、漏えいの原因を特定した。(表-1)
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配管継手部(差込継手構造)
接着接合不良や温水の排水の繰り返しによる熱伸縮等による応力集中(図-3、写真-1) |
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配管継手部(フランジ構造及びねじ込み構造)
長年の使用によるパッキン及びシールテープのひび割れ、変形、弾性劣化等によるシール機能の劣化 |
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排気設備ダクト継手部
長年のふっ素分を含むミストによるフランジ部の腐食やパッキンの劣化 |
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その他
ドレン・サンプル口の端末処理不備、床及び架台の作業後の処置不備等 |
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A |
不適切な管理及び対策に至った原因と背景要因
多数の漏えい痕跡が長期間確認されず、非管理区域にも漏えい痕跡があったことから、施設の設計・建設情報、従来までの配管等の管理の方法、安全意識、過去の水平展開等を調査し、直接原因とその背景要因を特定した。
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設備機器から離れた配管・ダクト等は、点検項目に明記がなく、点検していなかった。また、設備機器の高経年化対策や配管等の漏えい防止対策を実施していなかった。 |
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転換試験終了後、設計や運転を担当した技術者がほとんど転出し、運転管理情報等の技術伝承が十分行われなかったこと、天然ウランを扱う施設であり、一部はウランを開放系で取り扱う設備設計と運転管理となっていたため、汚染があった場合は除染すれば良いという風土であったが、その後の社会環境変化に応じた意識改革が十分行われなかったこと、及び設備に錆等が増え、漏えい痕跡と錆等の見分けがつきにくい状態となり異常を早期に発見しにくくなった。また、非管理区域を経由する放射性物質を取り扱う配管に対する外部のトラブル事例等を見直しの機会として活かせなかった。 |
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廃止措置を進める中で将来に対する不安感からくる士気の低下と職場内の情報共有不足があった。 |
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B |
通報・連絡の不備及び遅れに至った原因
通報・連絡の不備及び遅れに関し、関係者からの聴き取り調査を行い、原因を特定した。
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安全管理課への放射線測定依頼手順が明文化されていないこと、漏えい痕跡が局所的で漏えいの継続・拡大の可能性が無いと判断したこと、自然放射性物質(ラドン・トロン)の影響で測定に時間を要したこと、等により迅速な対応が図れなかった。 |
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原子力保安検査官への通報の具体的要領が明確でなかった。 |
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報告を受けた日時を発見時間と思い込む等により情報の混乱があり、また相互確認が未実施となった。 |
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