第9回 原子力機構報告会
「変革の時~新たなる出発に向けて~」

廃止措置と環境回復に向けての取組 (テキスト版)

廃止措置と環境回復に向けての取組
福島研究開発部門企画調整室長 船坂英之

○船坂 ただいま御紹介いただきました、福島研究開発部門の船坂でございます。「廃止措置と環境回復に向けての取組」についてご報告いたします。

〔パワーポイント映写。以下、場面がかわるごとにP)と表示〕

P1) 本日の報告内容でございますが、大きく分けて5つでございます。最初に、福島の事故の対処に係る原子力機構の取り組みの基本方針を簡単に紹介させていただきます。以下、研究開発の取り組み、研究開発基盤の強化、情報のアーカイブ化についてご報告させていただき、最後に今後の進め方としてまとめさせていただきます。
P2) 最初に、(東京電力)福島(第一原子力発電所)事故の対処に係る原子力機構の取り組みの基本方針を報告いたします。
 (東京電力福島第一原子力発電所)事故直後は、緊急事態の対処にかかわる取り組みを中心に行ってきたわけですが、(東京電力福島第一原子力発電所)事故後3年余り経過し、今後原子力機構として何に取り組むべきか、何を取り組むことが求められているかの視点に立ちまして、今後10年にわたって原子力機構が担うべき役割について、その基本方針をグランドデザインとして取りまとめました。
P3) その基本方針の基本的な考え方といたしましては、ここに挙げている5項目でございます。
 最初に、総合的原子力研究開発機関としての最優先事項として福島の事故に取り組むこと。
 それから、廃止措置と環境回復に対して一体的かつ総合的に取り組んでいくこと。
 それから、国際社会との協力を主体的に進め、国内外の研究機関との連携を図り、世界の英知を集めて研究開発に取り組んでまいります。
 また、研究開発によって得られた成果を含め、事故の教訓・知見を次世代に継承することによる人材育成にも努めてまいりたいと思っているところでございます。
P4) 続きまして、廃止措置、オンサイトへの取り組みに関して原子力機構が担う役割につきましては、以下の4項目について整理いたしました。
 最初の項目は、廃止措置を加速し、研究を支える研究開発拠点の整備でございます。
 続きまして、中長期ロードマップの実現に向けた研究開発でございますが、これは2つから成ると思っております。1つは、中核をなす国の個別プロジェクトに直結する研究開発を実施するとともに、これらを支え、中長期に貢献する基礎基盤的な研究開発を実施していくということにしております。
 また、1F(東京電力福島第一原子力発電所)における喫緊の課題に対して、原子力機構内に設置いたしましたタスクフォースにおいて組織横断的かつ機動的に対応していきたいと考えております。
 また、今年(平成26年)8月に改組されました原子力損害賠償・廃炉等支援機構への積極的な貢献を行っていきたいと考えております。
P5) 続きまして、環境回復、オフサイトへの取り組みでございますが、これにつきましては、住民の方々が安全で安心な生活を取り戻すための解決策策定や、その実施判断の根拠となる科学的技術的知見を提供していきたい。また、環境回復に効果的な技術や評価手法を開発し、これについても提供していく。これらの技術的根拠を示すための基礎基盤的データの取得・拡充・整理を行っていきたいと思っております。
 また、この環境回復に係るロードマップにつきまして、住民帰還に貢献する研究開発成果を提供していきたいと思っております。
 また、これらの成果を着実に実施していく人材の育成にも努めていきたいと考えております。
P6) 続きまして、廃止措置に向けての研究開発の取り組みでございます。
P7) 最初に、1F上空の写真をお見せいたします。1Fサイトにおきましては、比較的スペース的には余裕のあるサイトでございましたが、これを見ていただければわかりますように、現在は約850基の汚染水・処理水の貯蔵タンクが設置されております。約60万m3にも上る汚染水・処理水が貯蔵されている状況でございます。また、海側遮水壁の中の1号機から3号機の取水口及び放水口は、既に埋め立てが完了しております。4号機前の遮水壁は未閉合の状況でございます。このように見ていただければ、1Fにおける汚染水の問題は非常に大きな課題の1つであることがおわかりいただけるかと思います。
P8) 続きまして、廃止措置に向けての研究開発における原子力機構の取り組みの全体像をお示しいたします。
 ここにございますように、ポンチ絵を用いて廃止措置ステップを示しております。それに関連する研究開発課題を整理いたしました。赤字で書いている部分が、原子力機構が今後主体的に取り組んでいこうとしている研究開発項目でございます。デブリ取り出し等の技術開発、遠隔技術開発、放射性廃棄物の処理・処分、あるいは炉内状況把握技術開発、事故進展解析、事故原因究明等でございます。
P8) 続きまして、廃止措置推進に向けた研究開発体制についてお示しいたします。
 政府あるいは原子力損害賠償・廃炉等支援機構、東京電力、国際廃炉研究開発機構(IRID)等の関係機関の方々と連携して進めていく所存でございます。
 原子力機構が取り組んでおります研究開発は、大きく分けて4項目でございます。1つは、先ほど申しました中核をなす研究開発、それから中長期に貢献する基礎基盤的な研究開発、1Fにおける喫緊の課題に対し組織横断的かつ機動的に対応していくこと、研究開発拠点の整備でございます。
 以降のスライドを用いまして、この4項目について少し詳しくご説明したいと思います。
P10) 最初に、中核をなす研究開発でございます。国の個別プロジェクトと直結し、中長期のロードマップに直接貢献する研究開発でございますが―
P11) 先ほど申しましたように、原子力機構といたしましては、燃料デブリ取り出しに係る研究開発と放射性廃棄物の処理・処分研究を中心に取り組んでまいりたいと思っております。
 研究開発におきましては、そこに茶色で示したものが1Fの作業ステップでございます。見ていただければわかりますように、最速ケースでは2020年ごろに燃料デブリ取り出しが計画されております。それに向けて、遠隔除染あるいは漏えい箇所調査・補修、デブリ収納・移送・保管、燃料デブリの臨界管理、計量管理、炉内状況把握等々の研究開発を、この作業工程に反映することで進めてまいりたいと思っているところでございます。また、放射性廃棄物処理・処分につきましては、2017年までに基本的考え方をまとめ、2021年までに安全性の見通し確認を得ることとしております。
P12) 続きまして、燃料デブリ取り出しにかかわる研究成果について、2~3御紹介したいと思います。
 まずは燃料デブリの性状把握でございます。事故進展解析コードの結果から得られる圧力容器内の元素組成及び温度分布をもとに、燃料デブリの化学形を熱力学平衡計算により概略評価いたしました。見ていただければわかりますように、下部支持板付近におきましては融点の低い構造材が溶融して下方に流れ、下部支持板付近では金属デブリを形成することが想定されるため、下部では金属成分が主体的な燃料デブリができるのではないか、一方、上部においては酸化物を主成分とする燃料デブリが構成されるのではないかということを概略評価しております。
P13) 続きまして、この解析コードの結果と炉内の事故進展状況を想定して、模擬デブリの製造を行っております。1つはアーク溶解、それから酸化性雰囲気で焼鈍することにより、また制御棒の組成を考慮して模擬燃料デブリを製造いたしました。
 結果は、そこを見ていただけばわかりますように、今回製造した模擬デブリのものでは、ホウ化物を含めて20GPa程度の範囲に包含されるような結果を得ているところでございます。
P14) 続きまして、放射性廃棄物処理・処分技術開発について述べたいと思います。
 この図は、放射性廃棄物処理・処分に係る技術開発の進め方の全体図を示したものでございます。(放射性)廃棄物ストリームという発生・保管から処理・処分までの一連の(放射性)廃棄物の取り扱いに関する検討におきましては、個別研究開発項目、性状把握、(放射性)廃棄物の処理・長期保管方策の検討、(放射性)廃棄物の処分に関する検討、これらを相互に関連づけながら基盤研究開発を進め、その成果を(放射性)廃棄物ストリームに関する検討に反映させることにより、最適な処理・処分概念の提示を行うというスキームで進めているところでございます。
P15) 1つの成果といたしましては、最初の汚染水のセシウムの除去に使われておりましたフェロシアン化物、水処理二次廃棄物に含まれるフェロシアン化物を無害化、安定化することが必要であるということでございましたが、分解に伴い遊離するセシウムを固定化できる処理方法を検討する必要がございました。シアンの無害化、セシウムの不溶化・不揮発化といった観点から、ジオポリマーという新しい素材に着目いたしました。
 そのジオポリマーを用いた結果が、この図でございます。そこにございますように、焼成後の固化物の中のセシウム残存量を測定した結果、セシウム量は焼成前後でほぼ同量であり、セシウムが固化物の中にとどまっていることを確認しております。また、シアン基につきましても中に閉じ込め、固定化させることを確認しております。セシウムを吸着したフェロシアン化物の処理技術にジオポリマーを適用することは高い有用性を持つことが示されたという結果でございます。
P16) 続きまして、中長期的に貢献する基礎基盤的な研究開発の最近の成果についてご説明いたします。
P17) 最初に、研究開発計画でございます。先ほどお示ししました作業ステップ、それからブルーで示すものが国の個別プロジェクト、IRIDと協力して進めている研究開発でございます。グリーンで示すものが基礎基盤研究開発でございます。この中のいくつかの成果についてご報告いたします。
P18) 最初に、レーザーモニタリング・内部観察技術開発でございます。
 まだ炉内状況を直接見ることができない状況でございまして、そこにおいて炉内状況を把握することが極めて重要でございます。そこで、原子力機構といたしましては、基盤的な研究開発として進めてまいりましたファイバースコープによる観察技術とレーザー誘起ブレークダウン(Laser Induced Breakdown Spectroscopy LIBS)による元素分析技術を組み合わせ、さらに耐放射線性を向上させた複合型光ファイバによる遠隔観察・分析技術を開発しております。
P19) 続きまして、事故進展挙動等の調査・研究でございます。
 BWR(Boiling Water Reactor 沸騰水型原子炉)特有の下部ヘッドに関する熱流動・構造連成シミュレーションを実施し、詳細変形・破損解析手法を開発してまいりました。そこにございますように、下部ヘッドの底に溶融物が約60cmの場合の温度分布と圧力分布を解析いたしました。最高温度は約1,200℃で飽和し、溶融しないものの、クリープ損傷の可能性があるということを見出しております。今後さらなる詳細解析によりまして、いつどこからどのぐらいの破損が生じるのかということについての推定をさらに進めていきたいと思っております。
P20) 続きまして、セシウムのマテリアルバランスについて述べたいと思います。
 棒グラフでお見せしますように、大気放出、海洋放出で環境に放出されたセシウムの割合は約2%でございます。ゼオライト等により汚染水中から回収された、水処理装置で吸着・回収されたセシウムの量は、約1/3と評価しております。2/3がまだ炉内に残留していると推定しております。また、汚染水中の放射性核種の濃度は、当初、冷却水の注入や地下水の流入により希釈され、単調な減少が期待されておりましたが、そこのグラフにございますように、2012年(平成24年)9月ぐらいから濃度の低下が緩やかになっており、これを評価いたしますと、どうしても原子炉建屋内から継続的に移行していると推定せざるを得ないということを見出しております。
P21) また、シビアアクシデント解析コードによる解析を行った結果をここにお示ししております。MELCOR(原子炉過酷事故解析コード)とTHALES(総合的シビアアクシデント解析コード)を用いて、化学吸着を考慮した事故後150時間後の炉内のセシウムの分布状況を1号機から3号機まで合わせた結果をここにお示ししております。それを見ていただきますと、大部分はサプレッションチャンバーの水槽中にあることが想定されますが、無視できない量が化学吸着により圧力容器内に残存していることがおわかりいただけるかと思います。
P22) 続きまして、1Fにおける喫緊の課題に対する機動的対応についてご報告いたします。
P23) 国よる汚染水処理対策委員会が実施している地下水解析モデルの妥当性を確認するために、原子力機構が有しております粒子線解析法を用いまして、遮水壁内の対策工による建屋への地下水流入等の低減効果を評価いたしました。その結果を委員会に報告し、委員会が実施しているモデルの妥当性を確認した結果でございます。
P24) 続きまして、1Fにおける地下水から港湾までつなげた解析を確立いたしました。アニメーションによってその結果をお示ししております。対策工の実施前と対策工の実施後の結果を両方並べてお示ししております。こちらが対策工の実施前、こちらが対策工の実施後でございます。3号機あたりから強く地下水が流入している状況がおわかりいただけるかと思います。一方、対策を実施したことにより、1号機~4号機の護岸からの地下水流入が見られないということが解析結果から想定されております。これによりまして、海洋へ漏えいする放射性核種の移動挙動を把握するための海洋拡散相対濃度マップと関連づけることによりまして、敷地内地下水から港湾へ、港湾から海洋へといった一連の解析が可能になっているということでございます。
P25) 続きまして、環境回復に向けた研究開発の取り組みについてご報告いたします。
P26) 環境回復に係る研究開発につきましては、そこにございますように、「環境の汚染への対処に関する特別措置法」と「福島復興再生特別措置法」に基づきまして、環境省あるいは復興庁と連携して進めているところでございます。また、今後設置される福島県環境創造センターにつきましては、福島県を中心にいたしまして、国立環境研究所と連携して進めていくこととしております。
P27) 続きまして、環境回復への原子力機構の主な取り組みを示したものが、この図でございます。モニタリングの結果に基づきまして、放射性セシウムの移動形態を評価いたしまして、環境移動評価を行いまして、それに基づく被ばく線量の変化の評価を行い、移動抑制の効果についての検討を行っているところでございます。
P28) 続きまして、モニタリングにおける最近の成果についてご報告いたします。
 これまで無人ヘリによるモニタリングを行ってまいりましたが、感度が高く、地表面上での2次元位置分解能を持ち、無人ヘリに搭載可能な散乱エネルギー認識型のガンマカメラを開発いたしました。それにより上空からの放射性セシウムの可視化を可能といたしました。その結果をここにお示ししております。
P29) 続きまして、広い範囲で2次元的に計測可能であるプラスチック・シンチレーション・ファイバを用いた放射線位置分布測定装置の開発を行ってまいりました。これまでは広い場所の除染前後の計測や環境回復、オフサイトにおけるため池の底の放射線分布測定に利用してまいりましたが、現在はオンサイトにおける1Fの汚染水タンクの漏えい検知の試験を実施し、オンサイト、オフサイト両方での利用可能性について確認を行っているところでございます。
P30) 続きまして、放射性セシウムの移動形態についてご報告いたします。
 手つかずの状態である山地、森林は放射性セシウムの供給源となっておりまして、これが河川を通じて河口域に流れ、あるいは海へ流れていくという状況になっておりまして、この環境動態の評価が極めて重要なテーマとなっております。
P31) 最初に、ミクロな観点から粘度鉱物へのセシウムの吸着メカニズムの解明に着手いたしました。これは、汚染土壌の中間貯蔵における安定性評価及び減容化処理の開発には、この成果が極めて重要である、この解明が不可欠であるという観点から着手しております。原子力機構が有しております放射光を用いた解析結果から、粘土鉱物別にセシウムの吸着サイトを特定いたしました。そこにありますように、バーミキュライトのある場所に放射性セシウムが1個だけ吸着すると、その隣にもセシウムや化学的性質の類似したイオンが吸着しやすくなるため、その粘度層に多くのセシウムイオンが取り込まれることを解明しております。
P32) このミクロの成果を踏まえまして、マクロな環境中での放射性セシウムの動態調査による将来推定を行っております。そこにございますように、放射性セシウムの移行経路は、土壌移動から河川の広域的な河川シミュレーション、あるいは局所的な河川シミュレーション、あるいは3次元モデルによる沿岸シミュレーションを組み合わせることにより、動態調査による将来推定を行いました。そこに結果をお示しします。2年後、20年後、50年後、100年後と、土壌流亡によりセシウムの放射能量は徐々に減衰してきておりますが、100年後におきましても北西部あたりに少し残るという結果を得ております。
P33) 続きまして、ダム湖内における放射性セシウムの移動挙動について報告いたします。
 ダム湖底堆積物の深さ方向における放射性セシウムの分布を調査いたしました。その結果をここにお示しします。そこにございますように、ダム湖上流部におきましては放射性セシウムの堆積は非常に厚く、下流部の②、③の地点では非常に薄くなっております。また、ろ過後の湖水中に含まれる放射性セシウム濃度は極めて低いことから、セシウムを吸着する粘度鉱物が移動することによりこの結果になったと推定しております。
P34) 続きまして、海洋拡散状況における詳細把握と将来予測について述べたいと思います。
 福島沖海域に特化した海洋動態予測モデルの開発を行っております。そこにございますように、海洋調査から得られた実験結果を移行プロセスパラメータとして取り組んだ海洋動態予測モデルを構築いたしまして、実態に近い海底土の核種分布の把握と移行の評価を行えるようにいたしました。
P35) また、このモデルを用いて汚染水の海洋漏えいに関する移行過程を把握するため、四季ごとに、春夏秋冬ごとに仮想放出計算を実行いたしました。3月、6月、9月、12月の1日を中心として、前後5日間を放出初日とした11通りの拡散計算を実行することにより、2011年(平成23年)、2012年(平成24年)の結果の平均を求めました。ここにございますように、湾岸部におきましてはそれほど核種移行の変化は見られませんが、海洋域におきましては親潮、黒潮の影響を受け、四季における変化がおわかりいただけるかと思います。今後は、環境動態調査により計算される河川から流出する放射性セシウムのデータをインプットすることにより、高精度の将来予測が可能となるモデルを整備していきたいと考えております。
P36) 環境回復における住民の方々の関心は、環境動態、環境からの影響から、現在は被ばく線量の変化への評価に移ってきていると言えるかと思います。
P37) 広い地域において多くの方々個人の線量評価をすることはなかなか難しい状況でございます。そこにおきまして、空間線量における結果から個人線量を評価することができないかということをトライしたものがこれでございます。個人の行動様式と居住環境等を考慮したアプローチを行いまして、個人の生活環境の空間線量率から年間被ばく線量を推定するということを現在行っているところでございます。
P38) 続きまして、福島県環境創造センター構想への対応についてご報告いたします。
 福島県環境創造センターにつきましては、A施設と言われる三春町におけるモニタリングあるいは調査研究を中心とした施設と、B施設(と言われる)南相馬市にあります、原子力関連施設周辺のモニタリングと原子力関連施設の安全監視を中心に行う施設の2施設から構成されておりまして、平成27年、平成28年から運用開始されることになっております。原子力機構といたしましては、福島県あるいは国立環境研究所と協力いたしまして、オンサイト、オフサイトの環境回復の研究開発を、この福島県環境創造センターに集約させる方向で取り組んでまいりたいと思っております。
P39) 続きまして、研究開発基盤の強化、研究拠点の整備についてご報告いたします。
P40) 廃止措置を加速し、研究を支える研究開発拠点の整備に着手しております。
 現在、楢葉町の遠隔技術開発センター、遠隔操作機器実証試験施設でございますが、平成26年8月に建設を開始いたしまして、平成28年当初から運用開始を予定しているところでございます。
 一方、放射性物質の分析・研究施設、大熊分析・研究センターにつきましては、現在詳細設計を開始しておりまして、第1期につきましては2018年(平成30年)からの運用開始を予定しておりますし、2期につきましては2021年(平成33年)から運用開始を予定しております。
P41) 楢葉町の遠隔技術開発センターにおける試験棟の設備配置例をお示しします。そこにおいて実施する研究項目でございますが、1つは、そこにございますように、格納容器下部の漏えい箇所補修技術等の実証試験を行うスペースでございます。1/8セクターでございますので、360°あるサプレッションチャンバーの約45°の試験体を用いまして、それの漏えい試験を予定しております。また、災害対応ロボットの実証試験を行う予定にしております。
P42) 災害ロボットの実証試験におきましては、ロボット標準試験法の確立ということとロボット・シミュレータということを行うということで、それがキーワードになっております。原子力災害対応ロボット標準試験法におきましては、ロボットの要求標準やオペレータの技能達成水準を明示することにより、ロボット・シミュレータにおきましてそれらの標準試験による相互の検証を行うことによりまして、効率的なロボット開発、実践的なオペレータの育成、合理的な作業計画立案に努めてまいりたいと思っております。
P43) また、大熊分析・研究センターにつきましては、そのサイトを、ここにございますように1F近傍の大熊サイトに決定いたしました。第1棟は、低中線量の試料を受け入れて、瓦れき類、汚染水の処理二次廃棄物等の分析を行うということ。第2棟は、高線量の試料、燃料デブリあるいはゼオライト等の汚染水二次廃棄物を受け入れて分析する施設としております。
P44) また、今年(平成26年)8月に文部科学大臣が記者会見で公表しました廃炉国際共同研究センターについて述べたいと思います。
 この施設におきましては、1Fの廃止措置等に必要な技術に関する研究開発のうち、中長期的な課題の研究開発につきまして、内外の研究者100名~150名規模の参画を想定して実施するための、国際的な拠点を構築してまいりたいと思っております。その中には、先ほど述べました楢葉町の遠隔技術開発センター、大熊町の分析・研究センター、また原子力機構の東海・大洗の既存施設を活用したものを含めて、この研究開発センターの構築に充てたいと思っております。
P45) 続きまして、情報のアーカイブ化についてご報告したいと思います。情報を保管し、活用し、未来につなげていくことがアーカイブ化ということでございます。
P46) そこにございますように、散逸・消失が懸念される1Fの関連情報等を蓄積・保存いたしまして、平成26年6月から公開しております。公的機関のインターネット情報、あるいは学会等の口頭発表情報を集約いたしまして、IAEA(国際原子力機関)の原子力事故情報の分類で整理しております。公開後、現在までに約300万件ものアクセスを得ている状況でございます。
P47) 今後につきましては、ここにございますように、福島のアーカイブの収録情報を段階的に拡充・集約していきまして、そこにございますようにⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期と拡充してまいりまして、今後は、拡充するに伴いまして、国立国会図書館あるいはIAEAと連携することにより国内外に発信していきたいと考えております。
P48) 最後に、今後の進め方でございます。
P49) 今まで述べてまいりましたことをここに整理させていただきました。
P50) とりわけ、今後の進め方の中で我々として考えているのは、関係機関との緊密な連携・協力を図り、廃止措置及び環境回復へ確実に貢献していきたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。