独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.310

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平成25年度　安全研究センター成果報告会を開催

安全研究センターでは、東京電力（株）福島第一原子力発電所事故の教訓や課題を考慮して、原子力安全の確保・向上に貢献し、規制委員会からの要請に応えるため、シビアアクシデントへの重点化や規制支援に向けた体制強化を進めています。また、研究成果の発信や提言を通して社会に対してより一層の説明責任を果たすとともに、若手研究者等の人材を育成する役割を担うことが責務であると考え、若手研究員が中心となって企画し、安全研究センター成果報告会を開催しています。
　平成25年度の安全研究センター成果報告会は、「安全評価技術の高度化に向けた取り組み」というテーマで、1月15日に富士ソフトアキバプラザ（東京都千代田区）にて、105人の参加者を得て開催しました。今回で4回目となる当報告会では、燃料安全、材料・水化学、サイクル安全及びシビアアクシデント（SA）評価研究に係る最近の研究成果についての報告を以下のとおり行いました。さらに、休憩時間を利用して各研究グループの研究トピックス全20件についてポスターセッションを行うとともに、締めくくりとして総合討論を行いました。

最近の研究成果に関する報告

　燃料安全研究では、高燃焼度燃料を対象とした反応度事故時の燃料棒被覆管破損について、連続体損傷モデルに基づく破損挙動の解明に関する成果が示されました。材料・水化学研究では、軽水炉の高経年化対策等の規制判断に資するため、炉内腐食環境評価のための放射線分解・腐食電位解析コードの開発・検証、及び塩水の放射線分解挙動評価に関する成果が示されました。サイクル安全研究では、再処理施設におけるリスク上重要な、高レベル濃縮廃液の昇温・蒸発や乾固に伴う揮発性及び非揮発性放射性物質の放出について試験を通じて得られた知見が示されました。SA評価研究では、福島第一原子力発電所3号機における気体状ヨウ素の放出についてSA解析コード等を活用し、サプレッションチェンバのベントにより揮発性の高いI₂や、有機ヨウ素が格納容器外に継続的に放出される可能性が示され、これらの報告に対して活発な議論がなされました。
　総合討論では、「安全研究センターがなすべき役割を果たすための若手研究者の確保、人材の育成」というテーマに焦点を絞り、国や大学等の様々な分野の方々から貴重なご意見が得られました。ここでの議論を今後の安全研究センターの活動に活かしていく所存です。

（安全研究センター構造健全性評価研究グループ　勝山　仁哉）
安全研究センターホームページ http://www.jaea.go.jp/04/anzen/index.html