独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.268

＝　現場から　＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

関西光科学研究所の省エネ対策について

平成23年度、関西電力は、東日本大震災以降、管下の原子力発電所の再稼動ができない状況が続くなど電力供給が厳しくなったため、関西光科学研究所に対し、夏期ピーク電力は平成22年度比15%程度の節電依頼を行いました。このため当研究所では、省エネ対策として次の取り組みを行ってきたので紹介します。
　平成23年度は、省エネパトロールの実施や所内の消費電力状況を随時職員に対しメールにより周知する啓発活動を実施するとともに、新たに実験棟冷凍機の運転を自動から冷水の温度を監視しながらの手動によるこまめな制御運転に切替えることにより、不要な運転を抑え電力の削減を図りました。
　その結果、平成22年度比最大電力で冷凍機分166kW、電力使用量で10%程度の節電効果をあげました。
　平成24年度の新たに加えた取り組みは、計算・先端情報センター棟の計算機室に設置されている空調機の効率化のため、計算機の周囲を間仕切りで囲うとともに、計算機を直接冷却するための冷気通路を設けるなどの改修を行いました。24時間連続運転の計算機空調機4台を1台運転に削減し、この結果、計算機用空調機の電力使用量は約75%の節電効果をあげました。
　また、実験棟大実験室系の空調設備では、休日・夜間時に空調機の運転を高速モードから回転速度が1/4の低速モードに切り替えることによって電力の削減を図りました。
　実験棟大実験室の空調設備は、高度精密なレーザー装置を維持するため、温度24℃±1度、湿度30～40%の限られた条件で運転を行っていましたが、装置の運転部門や実験者の協力を得て低速運転の試運転を実施した結果、実験を休止している休日、夜間の間は、低速運転でも温湿度の維持が可能との調査結果が出たので、昨年の春から休日・夜間時の低速運転を開始しました。その結果、電気料金は約二ヶ月分、電力使用量は年間15.6%の削減効果をあげました。
　さらに、管理棟、研究棟及び計算・先端情報センター棟などの居室については蛍光灯をLED照明に交換するとともに、実験棟実験室天井照明(80台)、構内外灯(90台)のすべてをLED照明に交換し、各建家照明の電力使用量は50%程度削減できる対策を図りました。
　以上のような対策を実施した結果、平成24年度の最大電力は、平成22年度比17.2％を削減し、年間の電力使用量は平成22年度比26.7%の削減を達成しました。今後、平成25年4月1日から関西電力管内の大口需要家向けの電気料金が大幅値上げ(平均17.2%)されるので平成25年度においてもさらに省エネ対策を推進していきたいと思います。

（関西光科学研究所　管理部　工務課）