━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.2.26 ━━━━━━━━
++---- No.116 目次 ----++
トピックス ____ 高速増殖原型炉もんじゅ性能試験再開の協議願いの提出について
現場から ____ ウラン濃縮について−人形峠環境技術センター
海外事務所便り _ オバマ大統領が新規原発に政府融資保証を付与 ほか
プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報
あとがき
原子力機構は2月23日、高速増殖原型炉もんじゅの性能試験再開の協議願いを、福井県および敦賀市に提出しました。この協議願いは、「高速増殖原型炉もんじゅ周辺環境の安全確保等に関する協定書」第11条の規定にもとづいて提出したものです。
また原子力機構は同日、「高速増殖原型炉もんじゅ性能試験(炉心確認試験)計画書」を原子力安全・保安院及び地元自治体に提出しました。
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2010/02/p100223.pdf
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2010/02/p100223-1.pdf
1979年、岡山県苫田郡上斎原村(現鏡野町)において、ウラン濃縮パイロットプラントが運転を開始しました。このプラントの稼働により我が国がウラン濃縮技術保有国であると国際的に認められたばかりでなく、自主技術による核燃料サイクルの確立に向け、確実にその第一歩を踏み出すことができた点でも大いに意義のあるものでした。
本年が、我が国がウラン濃縮技術保有国であると国際的に認められた国際核燃料サイクル評価(INFCE)の最終総会が開催された1980年からちょうど30年目にあたるのを機会に、ウラン濃縮について振り返ってみたいと思います。
ウランには燃える(核分裂する)ウラン235と燃えない(核分裂しない)ウラン238がありますが、原子力発電所で使用する燃料の多くは、天然ウラン中には約0.7%しか含まれない燃えるウラン235の割合を3〜5%に高めたものです。このウラン235の割合を高めることをウラン濃縮と言います。ウラン235とウラン238は、一般的な物理的性質や化学的性質は同一なので、わずかな重さ(原子核の質量数)の違いを利用して行います。
ウラン濃縮の方法としては、遠心分離法、ガス拡散法などがありますが、ウラン濃縮技術は核不拡散防止の上で機微な技術とされ、海外の先進技術の導入は一切考えられず、全くの暗中模索から自主技術開発がスタートしました。
我が国においてはガス拡散法に比べ消費電力の少ない遠心分離法を採用しましたが、その核となる遠心分離機開発の第一歩は、1959年に理化学研究所で試作した遠心分離試験機1号機までさかのぼります。その後、1961年の原子力平和利用長期計画によって、原子燃料公社、動力炉・核燃料開発事業団(現原子力機構、以後「動燃」という。)に引き継がれ、動燃では、1969年5月に初めてのウランガスを用いた分離実験を成功させました。その後、1972年に原子力委員会が遠心分離法によるウラン濃縮技術開発をナショナルプロジェクトと指定し、動燃が中心となり開発を行うことになり、人形峠において1979年にウラン濃縮パイロットプラントが運転を開始しました。その後も、人形峠では、商業規模の工場のモデルとなるウラン濃縮原型プラントを1988年から運転を開始しました。ウラン濃縮原型プラントの建設・運転の経験は、青森県六ヶ所村で現在操業している日本原燃(株)のウラン濃縮工場の建設・運転に技術移転されています。
これら一連のウラン濃縮の技術開発を通して、我が国の念願であった濃縮技術の確立が図られるとともに、技術移転先である日本原燃(株)で新型遠心機の導入などさらなる技術の発展を図っています。
(人形峠環境技術センター 環境保全技術開発部長 本庄 正樹)
*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。
☆ ワシントン事務所
<オバマ大統領が30年ぶりとなる新規原発に政府融資保証を付与することを発表>
オバマ大統領は2月16日、ジョージア州バークに新設される2基の原発に対し、DOEが総額83億ドルの政府融資保証を行うことを発表しました。
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-energy-lanham-maryland
<NARUCが使用済燃料管理・処分政策について決議>
National Association of Regulatory Utility Commissioners(NARUC)は2月17日に冬季大会で、使用済燃料管理・処分政策等の決議文を採択しました。決議文では廃止措置がなされた炉の使用済燃料については、中間貯蔵施設を建設してそこへ移送すべきとしています。
http://winter.narucmeetings.org/Winter_2010_Resolutions_PASSED_021710.pdf
☆ ウィーン事務所
<IAEAが3月理事会を開催>
IAEAは3月1日からIAEA本部で、定例理事会を開催します。理事会では天野事務局長の冒頭演説に続いて、イランやシリアの核問題、原子力安全、原子力技術、将来のIAEAなどが議論される予定です。
http://www.iaea.or.at/NewsCenter/MediaAdvisory/2010/MA201002.html
<IAEA理事会議長が交代>
IAEAは2月12日に特別理事会を開催し、理事会議長としてマレーシアのMr.Yaakob(現、カタール大使)を選出しました。同氏は、同じマレーシア選出の現議長Mr.Arshedの残りの任期2009-2010年を引き継ぐこととなります。
http://www.iaea.org/NewsCenter/News/2010/electboardchair.html
☆ パリ事務所
<CEAカダラッシュでレベル1のインシデント>
CEA(フランス原子力・代替エネルギー庁)カダラッシュ研究所の臨界試験装置(EOLE)に新しく装備された安全棒4本のうち1本が、稼働テストの際にうまく駆動しないことが確認されました。CEAは本件を仏原子力安全局(ASN)にINES 基準でレベル1のインシデントとして報告しました。周辺環境への影響はありません。
http://www-cadarache.cea.fr/fr/actualite/presse/pdf/ke190210.pdf
*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。
バンクーバー・オリンピックもあっという間に残り4日間となりました。この2週間、世界トップの戦いを楽しませてもらっています。日本勢は、メダルの数こそ伸び悩んでいますが、多くの場面で感動を残してくれました。フリースタイル上村愛子選手はメダルまであと一歩で残念でした。スケルトン45歳の代表越和宏選手には同じ「おやじ」として勇気をもらいました。カーリング女子の一投一投にはわくわくさせられました。そして何と言ってもフィギュアスケートの浅田真央選手。祈る思いで演技を見守りました。結果は御存じのとおり。
4年に一度のオリンピック。参加している選手は、皆この4年間並々ならぬ努力を積み重ねてきたことでしょう。本番ではその成果を、競技によっては1分足らずで出し尽くさなければなりません。競技の結果、順位はつきますが、全ての選手にこれまでの努力に惜しみない拍手を贈りたいと思います。(広報部 西川信一)
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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html
【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 佐田務、上野信行 ○
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