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Ver.77 発行 2009.2.27  日本原子力研究開発機構 広報部

原子力機構メールマガジンを御愛読頂きありがとうございます。

まだまだ寒い日が続きますが、暦上は春を迎えております。

この時期、花粉症に悩まされている方がいらっしゃるのではないでしょうか。私もその一人です。先日、ある新聞に朗報とも言うべき記事が出ていましたので、ご紹介させていただきます。それは、富山県が、全く花粉が出ない「優良無花粉スギ」を大量生産する技術を確立したというものです。無花粉スギは1992年に県内で初めて発見されました。その後の研究により無花粉になる仕組みを解明、無花粉スギを大量に生産する技術を確立したそうです。富山県は2012年からの3年間で新しい無花粉スギ約2万本を出荷する予定とのことです。無花粉スギが増えれば、花粉症に苦しむ人の数が減ることにつながるかもしれません。

原子力機構でも、私たちの普段の生活に役立つ応用研究から基礎的な研究まで様々な研究成果を発信しています。詳しくは、機構ホームページの「研究成果の発表・お知らせ」、「プレス発表(研究開発成果関連)」をご参照ください。http://www.jaea.go.jp/02/press1.shtml

なお、花粉症の身近な予防対策には、高脂肪の食物を避ける、過剰なアルコールの摂取を防ぐ等の規則正しい食生活、ストレスをためない生活が大事だそうです。皆さんも思い当たる節はありませんか。

広報部報道課 積田章司

さて、今回の「研究開発現場から」は、大洗研究開発センターです。

【研究開発現場から】 大洗研究開発センター 高温工学試験研究炉部 HTTR計画課長 藤本 望

21世紀には化石燃料に代わるエネルギー源として水素の大量需要が予測されます。この水素製造の熱供給源として期待される「高温ガス炉」について紹介します。

現在、原子力発電で使われている軽水炉の出口温度は三百数十度程度と低く、これに対して高温ガス炉は、1000度近い温度の熱を取り出すことができます。

高温ガス炉は高温の熱を取り出すために、燃料はセラミックスで四重に被覆した直径約1mmの被覆燃料粒子を用いています。この被覆燃料粒子は耐熱性に優れており、1600度程度の高温状態で使うことができます。この被覆燃料粒子を黒鉛で棒状にして黒鉛製のブロックに挿入し、これを積み重ねて炉心を構成します。この黒鉛も耐熱性に優れた材料で、2000度程度の温度に耐えることができます。また、冷却材には不活性ガスで安定し、燃料や構造材と化学反応を起こすことがないヘリウムを用いています。

このように高温で使える燃料や黒鉛を用いていること、安定したヘリウムガスを使っていることから、高温ガス炉は1000度近い温度の熱を取り出すことができるのです。

高温ガス炉は、950度の熱を利用した水素製造、850度ではガスタービン発電の他、200度の低温熱は地域暖房や海水淡水化と、発電以外にも利用できます。システム全体の熱利用率は約80%に達し、熱を捨てる割合を少なくできます。さらに石炭の液化・ガス化、直接還元製鉄などにも利用することができ、需要に見合ったエネルギーの供給が可能です。

それだけではなく、高温ガス炉を用いた場合、二酸化炭素を出さずに水素を製造することができます。このため、高温ガス炉による水素製造は、将来の重要な技術の一つとして注目されています。

原子力機構では、大洗研究開発センターに高温工学試験研究炉(HTTR)という高温ガス炉を有しています。HTTRは、平成16年4月に950度の高温の熱の炉外への取り出しを世界で初めて実証しました。現在は長時間運転や安全性に関する試験を行い、高温ガス炉の特性や安全性を明らかにしています。これらの成果をもとに今後、水素製造施設を原子炉に接続した場合の特性について研究を進め、原子力による水素製造システムの実用化を目指します。

高温工学試験研究炉(HTTR)ホームページ http://httr.jaea.go.jp/index_top.html

【プレス発表】

  1. 平成21年2月18日、微生物による白金族元素ナノ粒子触媒の作製に成功−微生物の不思議な力に迫る−
    http://www.jaea.go.jp/02/press2008/p09021801/index.html
  2. 平成21年2月20日、日本原子力研究開発機構関西光科学研究所公開用WEBサーバに対する不正アクセスによるレーザー学会所有の個人情報の流出について
    http://www.jaea.go.jp/02/press2008/p09022002/index.html
  3. 平成21年2月26日、高速増殖原型炉もんじゅの組織変更について
    http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2009/02/p090226.pdf
  4. 平成21年2月27日、高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えい検出器等の点検報告書について
    http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2009/02/p090227_2.pdf

【お知らせ】

  1. 平成21年2月3日、原子力機構携帯ホームページを開設しました。
    URL「http://www.jaea.go.jp/i/」です。
  2. 平成21年2月11日、英国政府主席科学顧問ジョン・ベディントン教授「もんじゅ」ご視察
    http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/josirase/090211topics.html
  3. 平成21年3月15日、第10回東濃エネルギーセミナーを開催します。
    http://www.jaea.go.jp/04/tono/topics/topics0902_1/index.html
  4. 平成21年3月17日、第6回安全研究審議会を開催します。
    http://www.jaea.go.jp/02/info/090223/index.html
  5. 平成21年3月17日、原子力機構-東京大学大学院工学系研究科原子力専攻連携重点研究・課題5「放射性廃棄物処分研究のためのネットワーク」第6回情報交換会を開催します。
    http://www.jaea.go.jp/02/info/090216/index.htm
  6. 平成21年3月26日、生命科学研究シンポジウム2009を開催します。
    http://yayoi.kansai.jaea.go.jp/biou/index.html

【採用情報】

  1. 平成22年度新卒職員採用募集要項(研究職、技術職、事務職)を掲載しました。
    http://www.jaea.go.jp/saiyou/new/index.html
  2. システム計算科学センターでは、特定課題推進員を募集します。
    書類提出期限:平成21年3月23日(月)
    http://www.jaea.go.jp/saiyou/employment/employment105.html
  3. 安全研究センターでは、研究系職員を募集します。
    書類提出期限:平成21年4月10日(金)
    http://www.jaea.go.jp/saiyou/career/career42.html

【調達情報】

  1. 一般競争(指名競争)参加資格の定期審査受付について〔物品の製造・販売・役務の提供等〕;随時受け付けています。
    http://www.jaea.go.jp/02/format/index.html

■申し込みいただいた皆様に独立行政法人日本原子力研究開発機構の情報を配信しております。

■アドレス変更・配信停止については、以下のホームページをご覧ください。
 http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【編集・発行】独立行政法人日本原子力研究開発機構 広報部広報課
 http://www.jaea.go.jp/

【お問い合わせ】お問い合わせフォームより → http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml
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