第13回 超深地層研究所跡利用検討委員会 議事録

超深地層研究所跡利用検討委員会事務局

日 時: 平成25年8月29日(木)16:00〜17:00
場 所: 瑞浪市産業振興センター
 出席者:
委員長
池永 輝之
(岐阜経済大学名誉教授)
 
副委員長
水野 光二
(瑞浪市長)
 
副委員長
秦 康之
(岐阜県環境生活部長)
 
副委員長
倉 米藏
(原子力機構副理事長)
 
委  員
小島 三明
(土岐市副市長)
委  員
水野  正
(瑞浪市総務部長)
 
委  員
山田 実三
(瑞浪市議会議長)
 
委  員
近藤 泰文
(瑞浪市連合自治会会長)
委  員 宮地 富子
(瑞浪市食生活改善推進協議会会長)
 
委  員
松本 俊則
(土岐市連合自治会会長)
 
委  員
荻野 義明
(瑞浪市明世町:戸狩区代表)
 
委  員
伊藤 征史
(瑞浪市明世町:山野内区代表)
 
委  員
飯尾 正和
(岐阜県先端科学技術体験センター館長)
 
委  員
伊藤 正雄
(資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室長)
 
委  員
野村 茂雄
(原子力機構理事)
 
委  員
藤井 文人
(原子力機構東濃地科学センター所長)
(欠席:片桐卓朗(岐阜県東濃振興局長)、山田正和(土岐市議会まちづくり特別委員会委員長))
プレス:1社(岐阜新聞社)

議 題:
(1)超深地層研究所計画の状況について
(2)瑞浪超深地層研究所の施設活用について
(3)その他

配布資料:
第13回超深地層研究所跡利用検討委員会次第
超深地層研究所跡利用検討委員会名簿
〔資料−1〕超深地層研究所計画の状況について
〔資料−2〕瑞浪超深地層研究所の施設活用について(PDF)
瑞浪超深地層研究所の現状(スライド資料−1)(PDF)
瑞浪超深地層研究所の施設活用について(スライド資料−2)(PDF)

1.開会
事務局より委員会の位置づけについて説明、出席者の紹介。

2.挨拶
(1)池永委員長
 瑞浪超深地層研究所は、現在、深度約500mまで立坑の掘削が行われ、引き続き水平坑道の掘削及び調査・研究が進められていると伺っている。研究所では、学術的な研究の場としての利用だけでなく、地域振興などの幅広い活用の可能性を持っていると考えている。委員からのご意見を受けて、昨年12月と今年7月にサイエンスワールドとの共催講座が開催された。
 今回の委員会においては、機構から、研究所計画の報告とあわせて、前回の委員会開催以降の取組状況を説明し、議論を進めていきたい。委員各位のご協力のもと、活発な議論を行い、施設の活用方策を考えていきたい。

(2)原子力機構(倉副理事長)
 最初に、岐阜県、瑞浪市、土岐市、関係各位には、日頃から、機構の事業にご理解、ご支援賜っていることについて、改めて御礼申し上げる。
 昨今の機構の状況として、「もんじゅ」における保守管理に関する不備、大強度陽子加速器施設のJ−PARCにおける放射性物質漏えいのトラブルがあった。皆さま方に大変ご心配をおかけしている事について、この場を借りてお詫び申し上げたい。安全向上への取組については、機構の中に改革推進本部を設けて、理事長をヘッドとして検討を進めている。先に出された文科省からの改革の基本的な方向性を踏まえて、改革推進のための具体化について、秋口を目途に一つの方向性を計画にまとめて、お示し、着実に進めていきたい。
 研究所の活動については、ご紹介あったとおりである。また、平成17年の環境保全協定を厳守し、県、市ご当局のご指導を得ながら、環境維持を念頭に事業を進めている。とりわけ排出水の管理については、これからも十分留意し、引き続き万全の環境維持に努めて参りたい。
 本委員会は、跡利用に限らず、施設の有効利用といった観点から取り組んで参りたい。施設の利用についてサイエンスワールドさんと協賛で講座を開催させていただいており、この場をお借りして御礼を申し上げる。これからもこのような活動を活発に行っていくので、是非、委員の皆様方には忌憚のないご意見をいただきたい。

3.議事
(1)超深地層研究所計画の状況について
 事務局より資料に基づき説明。

(池永委員長)
 現在、エネルギー政策について、国の方でもいろいろと検討が進められていると承知している。高レベル放射性廃棄物の最終処分について、国の方で放射性廃棄物ワーキンググループが設置され、取組の見直しに向けた検討が行われていると伺っている。折角の機会なので、伊藤(正)委員からワーキンググループでの検討の状況などをご紹介いただきたい。
(伊藤(正)委員)
 全体の状況について簡単にお話をさせていただく。まず、2000年に制定された特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律が、制定後十数年経っているが、この間様々な情勢の変化もあり処分地が決まっていない。制度の運用面の問題に加えて、具体的な例としては、2007年に高知県東洋町で、町長が公募に手を挙げた途端に周りからの批判が高まり進まなかったということがある。加えて福島の事故があったため、さらに厳しい状況となった。こういった課題、反省を踏まえて、総合資源エネルギー調査会にワーキンググループを設置して、現在検討を進めている。1つは、5月28日に設置された高レベル放射性廃棄物ワーキンググループで、これは立地選定プロセスや事業実施体制を含めた全般論を検討するものである。もう1つのワーキンググループは、10月から進める予定であるが、地層処分の技術的な検討を行い、その信頼性を高めるためのもので、2000年の2次取りまとめをもう一度見直し評価することを、特に天然バリアと人工バリアに加えて、工学的なシステム全体も再確認するものである。
 前者のワーキンググループでは、主に3つの大きな論点があり、1つ目は、地層処分で本当にいいのかどうかということである。世界各国共通して常識となっているのが地層処分であるが、この信頼性といったものが国民の方々には理解が浸透していない。この理由を突き詰めていく必要がある。具体的には、可逆性、回収可能性のある地層処分を担保すれば、将来の世代が再選択出来るというオプションを残すという意味で、学術会議や原子力委員会から意見として出されている暫定的な保管というのと同義にも感じられる。そのような地層処分の考え方で進めていいのかどうか等をまず突き詰めているところで、これは9月から11月ぐらいにかけて進めたいと思っているが、何よりも納得感が大事なので期限を決めずに議論尽きるまでやりきるというつもりで進めていく。
 2つ目は、その後に、立地選定のプロセス自体について、今、制度上は国からも自治体側に申し入れができるのであるが、実態上は各地域からボランタリーに手を挙げるという仕組みになっている。これでは特に地元、首長にかかる負担が大きく、この政策を国策で進めている以上は、国がもう少し責任を持って対応していくということで、出来るだけ地元関係者の方々の負担を少なくし、また、住民の方々にしっかりと納得してもらえるような合意形成のプロセスを、文献調査の前に丁寧に織り込んでいくための議論をしていきたいと思っている。
 3つ目は、それを行うための必要な実施体制である。この3つについて、このワーキンググループで今後検討を深めていきたいと思っている。さらに、法律改正の必要性を唱える方もいらっしゃるが、まずは、今の制度の問題点をしっかり確認したいと思っている。
 そこに後者の技術ワーキンググループにおける検討結果も踏まえ、最終的に国が文献調査をお願いするための判断材料を出していくといった流れで進めている。
 技術的な検討という観点では、瑞浪と幌延の施設が、唯一、地層処分の実証レベルでの研究成果、信頼性、安全性を確認できる場である。これまで地元の不満や不安もあったかと思うが、国の方からの申し入れなどによって四者協定を破棄して、この地が処分地になることはあり得ないので、ここで改めて約束しておく。
 国としては、両研究施設での研究を地域振興の観点からも支援するつもりである。引き続き地元の皆様のご支援ご協力をよろしくお願いしたい。
(山田委員)
 処分方法はいろいろと検討されて、今のところ地層処分が確立された唯一の方法ということで、我々は地層の研究をしていると理解している。今の話では、それを無しにして改めて処分方法自体のことを考えるというように伺ったが、もう少し詳しく説明していただきたい。
(伊藤(正)委員)
 結論的には唯一という言い方は、今の時点で私はしていない。社会学者の方が言われるのであるが、予め結論を国民に見せて、それについて来いというやり方では理解を得られないのではないかとのこと。複数の選択肢を示して、皆さん何が良いと思うか、という提示の仕方をしていかないと、最終的には腑に落ちないということになってしまう。個人的には地層処分が国際的には半ば常識的な検討結果で、国としても1976年から研究をしてきているわけで、今もって科学的には最も信頼性の高い方法だとは思っている。国民各層に対する今後の説明の仕方としては、例えば、代替オプションとして、核種変換など代替オプションを並行して進めていくことも含めて提示していかなくてはいけない。もう一度見つめ直すということが今回のワーキングの本丸だと思う。
(伊藤(征)委員)
 新聞報道によると幌延と瑞浪の統合について、古田知事が寝耳に水だと言っていたが、この真意について伺いたい。地元としては非常に不安である。それを払拭していただきたい。
(野村委員)
 「改革の方向性」という文科省の案では統合という文字は消えている。東濃、幌延を1つにするとか、あるいはすぐにどちらかを閉めるという話にはならない。
 先日、私も直接、理事長と一緒に知事のご意見をお聞きしたので、本件に関してはきちんと地元の方や県にも説明したいと考えている。瑞浪市長からもご要望が出されているので、検討しているプロセスの早い段階でご相談したいと考えている。
(近藤委員)
 本委員会は跡地利用検討のための委員会だと理解している。四者協定等に基づいて、ここが処分場になることはあり得ないと理解している。将来の跡地ということで申し上げれば、カミオカンデのような研究が出来るのか出来ないのか、よくわからないけれども、是非、科学的研究を進める方向で、こういう施設を活用した研究を続けてもらえればいいと思っている。

(2)瑞浪超深地層研究所の施設活用について
 事務局より資料に基づき説明。

(伊藤(征)委員)
 現状では施設活用ということで、素晴らしいことをやっているということは理解しているが、実際の跡地利用検討はまだ進めないということであれば、当面、跡地利用検討委員会という名前を変えたらどうか。

(藤井委員)

 第4回の委員会の時にご審議いただいた5つの視点に基づいて、研究をしながら施設を活用するということで、これまで取り組んできている。平成26年度以降については、次の中期計画の策定状況を見ながら検討させていただきたい。
(野村委員)
 まだ本来の地層処分の基礎的な研究としての地下空間が必要だという大きな役目があるので、当初予定していた課題をもう一度整理して、やるべきことを最優先しながら、次の使い方というのを、いろいろな皆様方のご意見を聞きながら、あるいはこういう場で提示しながら、検討していきたい。
(山田委員)
 研究所の隣に研究者の宿泊棟がある。以前はレストランがあり、市民にも開放されていた。外国の研究者も滞在していたし、さらに言うと周辺の文化施設を利用した団体が来て、将来のエネルギーや研究所のことを多少なりとも話をしていた。このような研究施設は日本に2か所しかない。その1か所をもっと違う形で幅広く利用するというのは必要なことだと私は思う。ぜひ、宿泊施設のそのような趣旨の利用も考えて頂けると有難い。
(藤井委員)
 ご指摘の件は交流館のことで、従前は一般の方々にも開放し、有意義に活用していただいていたが、そのような運用については合理化された。ただ、当施設には研究者が居住しているので、交流施設といった面でより活きた施設にしていきたい。
(飯尾委員)
 サイエンスワールドとの協賛については、昨年、地層見学の講座もやり、今年7月には実際に地下300mに入るという講座もやったが、非常に好評であった。ただ、実際に入れるのは20名位であるので、もし研究所の方で都合が付けば、あと何回か機会があればやれるような体制にして頂ければと思う。

4.閉会の挨拶
(池永委員長)
 本日は、長時間にわたり本委員会にご参加いただき、委員各位のご協力により、委員会を円滑に進行できたことに感謝申し上げる。今後も研究所の計画が順調に進捗し、研究所が地域に貢献できるような施設になることを希望して、第13回の本委員会を閉会する。

5.その他
委員会開催前、瑞浪超深地層研究所をご視察。
 

以 上