日本原子力研究開発機構

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第1回 「原子力災害に関する法令」(平成25年4月)

本コーナーのタイトルは、「原子力防災情報」となっていますが、原子力防災とはどの範囲の事柄を指すのでしょうか。本コーナーでは広く、原子力防災に関連する事項を扱っていく予定ですが、法律では、対象や運用を明確にするために言葉の定義がしっかり定められています。「原子力防災」という言葉の法律上の定義は、「原子力災害対策特別措置法(原災法といいます。)」に記載されています。

原子力防災

原子力災害を未然に防止し、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)が発生した場合における被害(被害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大を防ぎ、及び原子力災害の復旧を図ることをいう。

ここで、また「原子力災害」という言葉が出てきました。原子力災害についても以下のように定義されています。

原子力災害

原子力事業者の原子炉の運転等により放射性物質又は放射線が異常な水準で原子力事業所外へ放出された事態(原子力緊急事態)により、国民の生命、身体又は財産に生ずる被害。

これらをまとめると、法律でいう原子力防災が対象としているのは、「原子力発電所や核燃料加工工場等の原子力施設から、異常な水準で放射性物質や放射線が事業所外に放出され、そのことにより生じる国民の生命、身体や財産への被害の防止や復旧を図ること」であり、原子力施設における事故災害を指しています。

原災法は平成11年の株式会社ジェー・シー・オーのウラン加工工場における臨界事故を受けて制定された法律です。それ以前は、自然災害や他の事故災害と同じく災害全般を対象とした「災害対策基本法(災対法といいます。)」の中で原子力災害も対応することとなっていました。しかし、原子力災害への対応については、他の災害への対応と共通の災対法の仕組みを活用しつつも、事故の反省を踏まえ、① 迅速な初期動作の確保、② 国と地方公共団体との有機的な連携の確保、③ 国の緊急時対応体制の強化、④ 原子力事業者の責務の明確化を盛り込んだ原災法による特別な仕組みが設けられることになりました。その後、平成24年には、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を踏まえた法律の改正が行われています。

また、法律には基本的な考え方や定めるべき事項が記載されており、その具体的な内容は省令や各種計画に記載し、運用方法はマニュアル等で定めるのが一般的です。図のように具体的な法令が定められており、災対法の規定に加え、原子力災害については、黄色で示す原子力防災に係る技術的・専門的事項をとりまとめた原子力災害対策指針(原子力規制委員会)や原子力事業者防災業務計画の作成が定められています。

 

図 原子力災害に関する法令等

  当機構は、「もんじゅ」や様々な研究炉等を抱える原子力事業者ですが、さらに指定公共機関にも指定されており、原子力災害時には国や地方公共団体等に協力することとなっております。

さて、今までの説明は原子力施設を対象とした事故、災害でしたが、放射性物質や放射線が関係する他の災害等についても、法律等で定められており、例えば、本年212の北朝鮮による地下核実験の際には、「北朝鮮による地下核実験の可能性に伴う当面の対応措置について(平成252 12 日放射能対策連絡会議申合せ)」を受け、地下核実験の場合は大気中に放射性物質が放出される可能性は少ないが、万全を期す観点から、当機構でも放射性物質の放出を仮定した拡散予測を行っています。

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