日本原子力研究開発機構

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原子力緊急時支援・研修センター
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モニタリング技術開発

 モニタリング技術開発グループは、 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因した福島第一原子力発電所(以下「1F」といいます。)の 事故に伴う周辺環境における放射性物質の分布状況等に関する調査(以下「分布状況調査」といいます。)の取りまとめを行っています。

新着情報

2021年3月
分布状況調査での結果をもとに当グループ員が発表した論文が 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の2020年報告書に引用されました。
          https://www.unscear.org/unscear/en/publications/2020b.html
2020年12月
「平成31年度東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の分布データの集約」(受託研究)(JAEA-Technology 2020-014)を刊行しました。
          https://jopss.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-Technology-2020-014.pdf
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当グループの役割

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、1F事故が発生し、 その結果、原子炉から環境中へ大量の放射性物質が放出され一部が陸上に沈着しました。 日本原子力研究開発機構では、文部科学省(後に原子力規制庁)からの委託を受け、2011年6月から放射性物質の分布状況等に関する調査を実施しています。 (関連リンク①参照
 当グループは、分布状況調査を通して培った経験を原子力緊急時に向けた技術として改良・発展させることも視野に、2018年度に発足しました(注)。 1F事故に伴う周辺環境における放射性物質の分布状況等に関する調査の取りまとめを行うとともに、研究成果を発信しています。

 (注)2017年度までは、福島研究開発部門廃炉環境国際共同研究センター(旧福島環境安全センター)が受託研究窓口であり、 当グループもそこに所属していました。


分布状況調査の概要

 分布状況調査では、 これまでに数種類の異なる測定方法を用いて環境中の空間線量率(単位:µSv/h)や 放射性物質の土壌沈着量(単位:Bq/m2)に関する大規模調査を継続的に実施しています。 図1に測定項目とその特徴をまとめて示しました。
 調査に関連して得られた知見やデータは様々な形態で公開されてきました。 この中には、WEBページでの線量率分布マップ等による情報提供をはじめ、より詳細な数値情報やデータベースのWEBページ公開があります。 (関連リンク②③参照


分布状況等調査の測定項目と特徴

図1 分布状況等調査の測定項目と特徴

1)空間線量率の測定
  空間線量率の測定では4種類の測定を実施しています。各測定方法はそれぞれ以下の特徴を有しています。

①「定点測定」はかく乱の少ない平坦で舗装されていない場所を選定し同じ場所で繰り返し空間線量率を測定します。 測定範囲は連続的ではありませんが、環境条件の似た場所でのサーベイメータによる測定のため周辺環境の標準となる空間線量率が得られます。
②「歩行サーベイ」では測定範囲は限られますが、人が生活する様々な環境における空間線量率が取得できる、 場所による空間線量率の変化を詳細に捉えた測定ができるなどの特徴があります。
③「走行サーベイ」では道路上での測定に限られますが、広範囲を対象に膨大な量のデータを取得することが可能です。
④「無人ヘリ測定」では上空から測定するために地上の細かな空間線量率の変化を捉えることはできませんが、 測定対象の地域全体をカバーできるという他にない大きな特長を有しています。

 このようにそれぞれの特徴を有した測定手法により異なる環境・条件での空間線量率の情報を取得することができるので、 複数の測定手法を必要に応じて組み合わせて利用することが良いと考えています。

2)土壌沈着量に関する測定
 その場の平均的な沈着量が測定できる特長を有する可搬型ゲルマニウム半導体検出器を用いてin-situ測定(現場での測定)を行ない、沈着量の分布状況を調査しています。 また、地表面に沈着した放射性物質の地中への浸透を調べるため深度分布調査を行なっています。


分布状況調査により分かったこと

 1F事故後、分布状況調査が継続して実施され、放射性物質等の分布状況や経時変化とその原因となる放射性セシウムの環境中移行の特徴が明らかになってきました。 これら研究成果は、学術雑誌に論文として発表されています (学術雑誌掲載論文ページ及び機構報告書ページ)。 そのなかから特徴的な例を2つ紹介します。


国際機関刊行物への貢献

2015年 分布状況調査において取得したデータが国連科学委員会(UNSCEAR)2013年報告書に引用されました(関連リンク④参照)。
2019年 分布状況調査での結果をもとに当グループ員らが発表した論文3件が 国際原子力機関(IAEA)のtechnical report No.486に引用されました(関連リンク⑤参照)。
2019年 分布状況調査での結果をもとに当グループ員らが発表した論文6件が 国連食糧農業機関(FAO)と国際原子力機関(IAEA)の連名の報告書に引用されました(関連リンク⑥参照)。
2020年 分布状況調査での結果をもとに当グループ員らが発表した論文3件が 国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication 144に引用されました(関連リンク⑦参照)。
2021年 分布状況調査での結果をもとに当グループ員らが発表した論文8件が 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の2020年報告書に引用されました(関連リンク⑧参照)。

関連リンク

①福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の分布状況等に関する調査
  http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/338/list-1.html
②放射線量等分布マップ拡大サイト
  https://ramap.jmc.or.jp/map/
③放射性物質モニタリングデータの情報公開サイト
  https://emdb.jaea.go.jp/emdb/
④UNSCEAR 2013年報告書「電離放射線の線源、影響およびリスク」第I巻科学的附属書A「2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルと影響」
  https://www.unscear.org/docs/publications/2013/UNSCEAR_2013_Annex_A_JAPANESE.pdf
⑤IAEA Technical Reports Series No. 486「Guidelines on Soil and Vegetation Sampling for Radiological Monitoring」
  https://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/DOC_010_486_web.pdf
(被引用文献:Saito他(2015)、Andoh他(2015)、Matsuda他(2015))
⑥FAO/IAEA「Data management and visualisation in response to large-scale nuclear emergencies affecting food and agriculture」
  http://www.fao.org/publications/card/en/c/CA6666EN/
(被引用文献:Saito他(2015、2016)、Andoh他(2015)、Matsuda他(2015)、Mikami他(2015a、2015b))
⑦ICRP Publication144「Dose Coefficients for External Exposures to Environmental Sources」
  http://www.icrp.org/page.asp?id=5
(被引用文献:Saito他(2015)、Matsuda他(2015)、Mikami他(2015a))
⑧UNSCEAR 2020 Report「SOURCES, EFFECTS AND RISKS OF IONIZING RADIATION」 Annex B 「Levels and effects of radiation exposure due to the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station: implications of information published since the UNSCEAR 2013 Report」
  https://www.unscear.org/unscear/en/publications/2020b.html
(被引用文献:Andoh他(2018)、Kinase他(2017)、Matsuda 他(2017)、Mikami他(2015b、 2019)、Saito他(2015、2019)、Chino他(2016))

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