平成27年3月13日(金)更新
深度350m調査坑道東周回坑道の既存ボーリング孔に、ステンレス製チューブを用いた地下水循環装置を設置しました(図、写真)。これにより、地下水に溶けているヘリウムガスの量を正確に測定し地下水の年代測定を行います。
通常、水質分析のための地下水採水に使用している地下水循環装置では、ナイロン製チューブを用いています。しかし、地下水に溶けているヘリウムガスは、ナイロン製チューブを透過します。そこで、ガスを透過しないステンレス製チューブを用いて採水する地下水循環装置を製作・設置し、より原位置の地下水の状態で採水できるようにしました。
図 深度350m調査坑道における設置場所
写真 ステンレス製チューブを用いた
地下水循環装置
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平成27年3月13日(金)更新
深度350m調査坑道において、JOGMEC・ISTECと共同で、地下深くと地上の気圧差が超電導磁気センサ*1の動作に与える影響を調べる試験を2月下旬に行いました。
高レベル放射性廃棄物の地層処分の分野を含め、岩盤の性質、断層の位置・形状、地下水の分布等の地下の様子を効率的に把握するための調査手法の一つとして、電磁探査*2と呼ばれる手法が用いられています。現在、JOGMECとISTECは、「技術ソリューション事業*3」の一環として、石油や天然ガスの資源探査へ応用するため、電磁探査の精度を飛躍的に向上させるべく、超電導磁気センサを用いた新たな電磁探査システムを開発しています。
今回、深度350m調査坑道に、超電導磁気センサをマイナス194℃以下に冷却するための液体窒素を収納した容器を置いて、容器内の温度・圧力の変化を調べました(写真1)。写真2は容器の圧力を調整するため、蒸発した窒素を地上へ排気するリリースチューブです。
この試験により、石油の井戸の底のような地下深くの環境で、超電導磁気センサを動作させるための基礎データを収集することができました。
幌延深地層研究センターの地下研究施設は、このような試験を安全に行える世界でも数少ない施設であり、今後とも、国内外の大学・研究機関との研究協力を積極的に進めていきます。
*1 超電導磁気センサとは…
金属などの電気抵抗が低温でゼロになる現象を利用した、高感度磁気センサ。開発中の超電導磁気センサを動作させるためには、マイナス194℃以下に冷却する必要があります。
*2 電磁探査とは…
電磁波を利用して、対象となる岩盤などの電気的特性を観測し、その性質・状態を推定する調査手法です。
*3 技術ソリューション事業とは…
産油国等が抱える技術課題(ニーズ)に対して、JOGMECと我が国企業が一体となって解決策(ソリューション)を提供することで、我が国企業のビジネス創成の支援と、産油国等との関係強化を目指す事業です。
(詳細は、
http://www.jogmec.go.jp/oilgas/technology_025.html
を参照。)
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