令和5年9月29日(金)更新
幌延深地層研究センターでは、地下施設と上幌延観測点(HDB-2)において地震観測を行っています。令和5年8月12日(土)23時30分頃と8月13日(日)9時38分頃に、北海道宗谷地方北部を震源とする地震が発生しました。幌延町では震度2を観測しました。
発生日・ 時刻 |
震央の 地名 |
震源の 深さ (km) |
規模 (マグニチュード) |
最大震度 | 幌延町の震度 |
---|---|---|---|---|---|
8/12 23:30 |
宗谷地方 北部 |
0 | 3.0 | 豊富町西6条、 幌延町宮園町:2 |
2 |
8/13 9:38 |
宗谷地方 北部 |
0 | 2.6 | 幌延町宮園町:2 | 2 |
気象庁 震度データベース検索より
なお、地下施設に設置した地震計のデータは、7月の停電作業後の自動復旧時の不具合により取得できませんでした。そのため今回は代替として、8月13日に上幌延観測点(HDB-2)で観測されたデータを紹介します。
上幌延観測点のボーリング孔内の深度140mおよび地表部で取得した東西方向、南北方向、鉛直方向の地震波形を図1に示します。地表に比べて地下では揺れ(震度)が小さくなっていることがわかります。
図1 8月13日 9時38分頃発生した地震における地震波形図
図をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。
令和5年9月22日(金)更新
9月5日に、350m調査坑道に掘削した試験坑道6(図1)の底盤部(床面)で岩盤を露出させて、地質観察を行いました(図2、3)。今回、観察した範囲は試験坑道6の幅約3m、奥行約10mです。この観察により、割れ目の長さや割れ目同士のつながり具合、脆弱部の地質学的な特徴などの情報が得られます。これらの情報は、径の小さいボーリングコアでは把握することが難しく、観察で得られる地質情報は岩盤内の割れ目の空間分布などを推定する上で貴重な情報となります。今回得られた地質情報は、坑道の掘削損傷領域の評価など、さまざまな検討に活用されます。
図1 350m調査坑道平面図
図2 底盤の地質観察の様子
図3 観察した底盤の3D画像
令和5年9月1日(金)更新
令和5年8月7日(月)に、北海道大学が実施している国際原子力人材育成イニシアティブ事業※1の一環として、国内外の8つの大学から17名の学生および3名の教員が、地下深部の環境について理解を深めるため、幌延深地層研究センターでの実習に参加しました。
はじめに、センター職員が幌延深地層研究計画の概要を説明し、各施設を案内しました。その後、参加者は、「地下水の物理化学パラメータの測定と溶存鉄イオンの分析」及び「弾性波トモグラフィ調査※2」について、若手研究者から解説を受けるとともに、実際の研究現場で実習を行いました(写真1、2)。参加者からは多くの質問があり、センター職員との間で活発な議論が交わされました。
当センターは今後も国際的な原子力人材育成に協力していきます。
※1 国際原子力人材育成イニシアティブ事業:
文部科学省による原子力分野の幅広い人材育成を目的とした補助事業
文部科学省:https://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/1419734_00001.htm
北海道大学における取組:https://nuclear-infrastructure.hokkaido.university/nucl-pj/index.html
※2 弾性波トモグラフィ調査:
ボーリング孔内の様々な位置から発振した波を受振し、岩盤内を伝わる波の速度の分布図を作成することにより、岩盤の内部の状態を推定する手法。
写真1 地下施設での弾性波トモグラフィの実習
写真2 地下水の分析実習