深地層研究計画の状況

令和3年3月の調査研究の状況

令和3年3月19日(金)更新

地下施設における水圧擾乱試験の実施

地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の一環として、東立坑の底盤(深度380m)から真下に掘削したボーリング孔において、厚さ数十センチメートルの断層(割れ目)を対象に水圧擾乱試験を実施しました(写真)。水圧擾乱試験は、割れ目に水を注入して水圧を上げることで割れ目を人工的にわずかにずらし、そのずれが割れ目の水の通しやすさにどの程度影響を与えるか調べる試験です。これまで、小規模な割れ目を対象に試験を行い、試験方法を確立してきましたが、今回はより大きな割れ目に対して同様な方法を試みました。
 試験の結果、小規模な割れ目の時と同様にこの方法が有効であることが確認できました。今後は得られたデータの詳細な解析を行い、割れ目がずれたときに水の通しやすさがどう変わるのかについて検討して行く予定です。

水圧擾乱試験中の作業風景

写真 水圧擾乱試験中の作業風景
試験区間の水圧が設定した値になるように、水の注入量を調整している様子です。

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令和3年3月8日(月)更新

掘削損傷領域の連続性等に関する調査技術開発

350m東周回坑道で、坑道の掘削による掘削損傷領域を調査する技術を開発するための試験を実施しています。掘削損傷領域では坑道に沿って割れ目ができることで、地層処分場の閉鎖後に物質の移動経路となる可能性があるため、水の通りやすさや岩盤の性質などを把握する必要があります。掘削損傷領域を調べるには非破壊での調査(トモグラフィ―調査が一般的)が有効ですが、詳しく調べるには新たな試験装置が必要となります。そこで、掘削損傷領域の分布を高精度に探査する試験装置を試作し(写真1)適用性を確認しました。
 図1に示すように坑道の底面に3本のボーリング孔(T-1, T-2, T-3)を掘削し、孔内に間隔をおいて試作した機器や電極を設置し、掘削損傷領域を含む岩盤中を伝わる振動の速さの分布(弾性波トモグラフィー)や電気的な抵抗の分布(比抵抗トモグラフィー)を計測しました(写真2)。得られた結果から、実際に掘削損傷領域の調査に適用できることを確認しました。また、水の通りやすさを把握するための透水試験と採取したボーリングコアの性質の調査も実施し、掘削損傷領域の連続性を把握する上で必要となるデータを取得しました。

※ 掘削損傷領域とは
 坑道を掘削することにより損傷を受けた周辺岩盤の領域のこと

試験の概念図

図1 試験の概念図
計測は、3断面(T-1とT-2の断面、T-3とT-1の断面、T-2とT-3の断面(図ではこの断面の波動経路は示していません))で行いました。

試作した装置の例(弾性波の受信機)

写真1 試作した装置の例(弾性波の受信機)

試作した装置の例(弾性波の受信機)

写真2 掘削損傷領域の調査状況

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これまでにご紹介した調査研究の状況

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