平成15年 9月10日
核燃料サイクル開発機構
敦   賀  本   部
新新型転換炉ふげん発電所のトリチウム除去装置建屋における
火災警報の発報について(火災の原因調査状況)

  9月8日に発生した標記トラブルにつきましては、火災が発生した以降、警察関係及び消防関係の現場検証のため、火災発生現場の維持保全に努めていましたが、9月9日に関係箇所の立会いのもと、焼け焦げていた後置フィルタの内部確認を実施しました。また、運転データや運転操作について調査を行いました。

 新型転換炉ふげん発電所は今年3月29日に運転を終了し、現在、第18回定期点検作業を行っています。
 標記建屋に設置されているトリチウム除去装置は、重水精製装置建屋の各部屋の空気中のトリチウムを除去する装置であり、重水精製装置は現在運転を停止しておりますが、重水精製装置建屋室内の換気のため運転を行っておりました。
 平成15年9月8日午後5時06分頃、トリチウム除去装置建屋の1階(管理区域内)の火災警報が発報しました。
 現場の状況を確認したところ、トリチウム除去装置建屋及び重水精製装置建屋の排気をしている排気筒から白煙を確認し、トリチウム除去装置建屋の1階(管理区域内)の後置フィルタのケースが焦げていること及び室内に白煙を確認しましたが、現場に火の気は認められませんでした。
 午後6時22分に消防署が現場に立ち入り、後置フィルタのケースが焼損していることを確認するとともに、消防署が鎮火していることを午後6時28分に確認しました。
 本件によるけが人の発生はなく、建屋内の放射性物質の表面汚染密度やトリチウム濃度についても通常レベルで、環境への影響はありません。

今後、詳細な調査を実施する予定です。

                                   〔平成15年9月9日21時30分記者発表済〕

1.後置フィルタの開放調査
  後置フィルタ内部の状況を確認するため、9月9日、後置フィルタユニット(図−3図−4)の金属蓋を開放したところ、左側、中央、右側の3箇所に取り付けられていたプレフィルタ及び高性能(HEPA)フィルタは、燃焼し炭化したと思われる残渣が確認されました。金属蓋内面には、焼け焦げたネオプレンラバーが確認されました。(図−5
  ユニット内の出口管台付近には、灰化した高性能フィルタ等が底部に堆積していました。また、壁面には高性能フィルタフレーム合板が炭化したと思われる残渣が確認されました。

2.運転データの分析調査
  9月8日16時21分の手動停止、同16時46分の再起動及びその後のトリチウム除去装置の運転データを分析した結果、当該装置の運転に関して以下の事が判りました。
  16時21分にトリチウム除去装置を手動停止した時点では、後置フィルタの前段に設置されている吸着塔(A,B2系統)のうち、A塔は5時間の加熱再生が終了し、B塔は処理空気が通気されている状態でした。運転員は、トリチウム除去装置の再起動に際して、塔の加熱再生が終了しているA塔を選択し、16時46分に再起動させました。この時、A塔は加熱再生が終了し、冷却に入ったところであり、塔内の吸着材(モレキュラーシーブ)等の温度は高温の状態であったと推定されます。(図−6
  16時46分のトリチウム除去装置の再起動により、未だ高温の状態だったA塔に通気された空気は約270℃に熱せられ、後置フィルタに流れ込んだと推定されます。


3.今後の予定
  上記運転データの分析調査に基づき、今後さらに詳細な原因調査を行う予定です。

添付図−1:トリチウム除去装置建屋平面図
添付図−2:火災警報発生時のパラメータ(9月8日)
添付図−3:後置フィルタユニット
添付図−4:後置フィルタユニット焼損状況
添付図−5:後置フィルタユニット内部状況(9月9日撮影)
添付図−6:トリチウム除去装置の運転サイクル

以上