FUGEN

平成14年4月5日
核燃料サイクル開発機構
敦  賀 本  部

新型転換炉ふげん発電所の原子炉起動と調整運転開始について
(第17回定期検査)

新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉原型炉:定格電気出力16.5万kW)は、平成13年5月24日にヘリウム循環系戻り配管からの漏えいにより原子炉を停止した後、平成13年度計画停止を行い、引き続き本年1月7日より、第17回定期検査を実施していましたが、計画していた作業が終了し、4月8日早朝に原子炉を起動し臨界とした後、翌9日昼頃に定期検査の最終段階である調整運転を開始する予定です。
調整運転開始後は、出力を徐々に上げながらプラント性能の確認を行い、5月中頃には国の最終検査を受けて本格運転を再開する予定です。

1.主要改造工事等

(1)ヘリウム循環系配管取替工事(図−1参照)
平成13年5月23日に発生した「ヘリウム循環系戻り配管からのトリチウム漏えい」の原因と対策が取りまとめられたことから、原因調査結果に基づき、12月21日より第17回定期検査にかけて以下の配管取替等の対策工事を実施し、平成14年2月28日に国の検査を受け工事を完了しました。
  1. 点検・調査にて損傷が判明した配管について、耐応力腐食割れ性に優れたSUS316L材に取替えました。
  2. ヘリウム戻り配管に設置されていた配管ヒータ及び保温を撤去し、配管内に溜まる凝縮水を排水するために、配管ドレンラインの改造を行いました。
(2)シールプラグ取替工事
定期検査中に行う圧力管集合体供用期間中検査等のため、炉心から取出したシールプラグ9体を、同一仕様の予備品と取替えました。
(3)局部出力検出装置取替工事
原子炉運転時の出力状況を監視するために設置している局部出力検出装置集合体を、信頼性維持の観点から16体のうち1体を取替えました。
(4)制御棒駆動装置取替工事
制御棒駆動装置9基の分解点検を行い、このうち6基を、作業工程の短縮を図るため、同一仕様の予備品と取り替えました。
(5)プロセス放射線監視装置の変更工事(図−2参照)
放射線管理設備のうち、以下のプロセス放射線監視装置を予防保全の観点及び計測単位のSI化を図るため、モニタの更新を行いました。
  1. 復水貯蔵タンク/プール水貯蔵タンクドレンサンプ水モニタ
  2. エリア放射線監視装置の中性子エリアモニタ/γ線エリアモニタ
  3. 原子炉建屋サンプリングガスモニタ/ダストモニタ
  4. タービン建屋サンプリングダストモニタ
                                

2.蓄積放射能量の調査(平成10年度計画停止時から継続) (図−3参照)

第17回定期検査において、コンクリート中に含まれる放射能量等の測定のため、原子炉建屋地下2階の床、地下1階の床及び壁、6階の床及びタービン建屋地下1階の床及び壁のコンクリートボーリングサンプル(7箇所、7サンプル)を採取しました。
また、廃止措置準備として、構造物に含まれる放射能量を評価するために、格納容器内及びタービン建屋に金属箔(65箇所)を設置しました。

3.燃料取替

平成13年度計画停止作業において、燃料集合体224体のうち、40体を新燃料集合体(うち混合酸化物燃料集合体22体)に取替えました。

4.定期検査時に発生した異常事象(図−4参照)

[C−濃縮廃液貯蔵タンク下部からの廃液の漏えい(2月13日発生)]
C−濃縮廃液貯蔵タンク下部鏡板に確認された、長さ約30mmのすじ状の欠陥(割れ)より、廃液が漏えいしていたトラブルがありましたが、2月20日に欠陥部を鉄箱で覆い、ビニールエステル系樹脂等を積層接着し補修しました。
また、当該タンク底部の監視強化のため、中央制御室や廃棄物処理系制御室等から、遠隔監視出来るように監視カメラを設置しました。

[平成14年2月21日発表済]

その後、C−濃縮廃液貯蔵タンクの下部鏡板部(補修部除く)と胴板部について肉厚測定を実施し、タンクの健全性を確認しましたが、念のため、当面の措置としてタンク下部鏡板部全面(補修部除く)をエポキシ系樹脂で覆うこととし、その施行方法について国への手続きを行いました。
今後、当該タンクについては、内容物を移送した上で、原因調査と漏えい部の恒久的な対策を行うこととします。

5.次回定期検査等の予定

・平成14年度計画停止:平成14年11月
・次回定期検査:平成15年4月頃

以上