核燃料サイクル開発機構
敦賀本部
新型転換炉ふげん発電所

所長 古林 俊幸

「新型転換炉原型炉「ふげん」開発実績と技術成果」について

 我が国のエネルギー事情に適した独自の自主開発炉として、原子力の黎明期に産官学が一体となって取り組んだナショナルプロジェクトである新型転換炉の開発を終了するにあたり、設計、建設そして25年間の運転を通じて得られた成果について、報告書を取りまとめることといたしました。
 新型転換炉プロジェクトの誕生から運転終了に至るまでに得られた成果は、既に1800件を上回る報告書類や約380件にのぼる工業所有権として報告されているほか、「ふげん」の運転実績、許認可図書、設備概要、図面類、実証炉の設計資料等がデータベースとして取りまとめられています。この報告書は、それらの全容が概観できるよう取りまとめたものです。
 本報告書では、新型転換炉開発の意義について述べたあと、ほぼ100%の国産化率で実施してきた設計・建設の実績、良好な稼働率を収めた運転実績、「核燃料サイクルの環の完結」に象徴されるプルトニウム利用実績、そして運転高度化の実績について取りまとめています。また、大洗工学センターにおける開発実績、実証炉や大型炉の設計にかかわる研究開発の成果、「ふげん」の運転経験を基に成し遂げられた国際協力、そして今後の廃止措置に向けての取組みについて紹介しております。
 この報告書は「ふげん」の建設・運転や研究開発に携わった技術者が、それぞれの成果を振り返って作成したものです。約40年間にわたって展開されてきたナショナルプロジェクトの実績と成果を取りまとめたこの報告書が、国内外における新しいプロジェクトを進めていく際の道標の一つと成らんことを執筆者一同祈念いたしております。
 「ふげん」は関係各位の長年にわたりますご支援ご指導を戴きまして、平成15年3月29日に開発運転を終了することができました。これからは原子力発電所の廃止措置の技術開発に向けた新しい使命を果すべく所員一丸となって取り組んで参りますので、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げますとともに本報告書をお読み戴いた皆様方からのご指導、ご高説を賜ることができましたなら、後進の者達の励みになることかと思います。
 今後とも末永くご指導・ご鞭撻をお願いいたしまして、発刊のご挨拶といたします。



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