第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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ネルギースペクトルの変化が考えられる。中性子エネルギースペクトルは、中性子検出器装荷位置、炉心燃料構成、燃焼の進行等により時々刻々に変化している。そこで、以下に示すように燃料タイプ、燃焼度、冷却材ボイド率及び10B濃度をパラメータとし、格子計算コード : WIMS−ATRを用いて、234U及び235Uの熱中性子1群の中性子吸収断面積を解析した。
・燃料タイプ:UO2及びMOX燃料
・燃焼度:0〜20 (GWd/t)
・冷却材ボイド率:0、40及び80 (%)
10B濃度:0、2.5及び5 (ppm)

 図8.7.9〜8.7.11に示すように、235Uに比べて、234Uの中性子吸収断面積は、燃料タイプ、燃焼度及び冷却材ボイド率の変化による中性子スペクトルの変化の影響を相対的に強く受けることが分かった。これらの燃料タイプ、燃焼度、冷却材ボイド率及び10B濃度に対する234U及び235Uの中性子吸収断面積の
感度幅は、以下のように見積もることができる。
234Uの中性子吸収断面積:90〜120(barn)
235Uの中性子吸収断面積:495〜505(barn)
 上記の結果より、234Uについては、相対感度理論式から算出した中性子吸収断面積の感度幅の方が、広いが、235Uについては、おおよそパラメータサーベイした結果と一致していることが分かった5)

参考文献
1)財団法人 日本原子力文化振興財団:“原子力の基礎講座2 原子炉の原理・安定性”、改訂第5版2刷、(1996)
2)青木英人、白山新平:“新型転換炉原型炉「ふげん」中性子検出装置の開発”、動力炉技報 No.12、(1974)
3)大輝茂、他:“新型転換炉「ふげん」用炉内中性子検出器の開発”、日本原子力学会誌、Vol.27 No.1、(1985)
4)大輝茂、他:“新型転換炉「ふげん」用長寿命型中性子検出器の開発”、動力炉技報 No.37、(1981)
5)Okawa, T. et al. :“Sensitivity degradation characteristics of incore neutron detector for heavy water reactor, Fugen NPP”, ICONE-10-22234, (2002)



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