第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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向上に効果を上げている。訓練風景を写真8.4.1に示す。
 一方、これは、実機の通常起動・停止工程に合わせ、事前の操作訓練、定期的に中央制御室で実施される異常時模擬操作訓練の前のプラントパラメータ変化の確認や初期対応の訓練に利用されている。
 このような操作訓練は、単独で行う系統機器の起動時停止操作に関する通常操作手順訓練から、数人で行う連携操作訓練(原子炉─タービン・電気操作)まで、訓練目的に応じて、また訓練員の人数、訓練時間等を考慮して幅広く行うことができる。
(7)FATRASを用いた運転技術の高度化
 「ふげん」は、平成4(1992)年に原子力発電所の給水制御系にファジィ理論を適用した制御システムを導入した。ファジィ理論を応用した制御システ



写真8.4.1 訓練の様子

の開発初期に、「FATRAS」に使用しているシミュレータコードFASIC(Fugen ATR Simulator Code)を用いて、給水制御特性の解析・検討を実施した。
 また、昭和69(1994)年に導入されたタービン制御装置のEHC(Electro Hydraulic Control System:電気油圧式制御装置)のデジタル化において、詳細設計で、FATRASを用いて運転操作面からの検討を行うとともに、FASICコードにより制御性の詳細な解析・検討を実施した。
 このように、FATRASは、「ふげん」の制御特性及び運転技術の高度化に関する研究開発に利用されてきた。
(8)おわりに
 「ふげん」は、他の軽水炉と同様に起動・停止の操作回数が少ない。また、運転員の世代交代に伴い、ますます運転員が実機での操作を行うことが少なくなっている。さらに、昨今、原子力発電所の安全性の観点から、運転員に対するプラント知識、操作技術の高度化が要求されている。このような状況において、FATRASを活用することにより、プラント特性の把握、プラントインターロックの学習等のプラント知識の向上及びATR特有設備の運転操作訓練に有効に活用され、成果を上げてきた。また、BTCによるフルスコープシミュレータでの運転操作訓練を組み合わせることにより、運転班のチーム力、運転員の通常プラントの操作技術、及び事故時のプラント過渡応答対応操作に対する運転技術の向上を図っており、プラントの安全・安定運転に大きく寄与した。


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