第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化![]() |
第 8 章 |
8.4.4 プラントデータ処理システム1)
本システムの開発により、定常時のプラント運転データの収集、蓄積、処理、解析を行い、分かりやすいデータの提供を行うことが可能となり、また、異常時に、詳細なデータを提供する機能を有し、異常原因の究明等に能力を発揮している。 昭和53(1978)年3月より実施した約1年の「ふげん」起動試験時に、プラントの過渡変化データ収集用のミニコンを用い、予測解析と試験結果の比較評価を行った。この評価において、プラント過渡特性の把握、設計の妥当性などの面で有意義な結果を得ることができた。 このミニコンは、起動試験終了後も、異常時等のデータ収集に使用していたが、プラントの状態をより正確に評価し、データの蓄積と解析処理を充実するため、「プラントデータ収集システム」(以下、「FDAS:Fugen Data Acquisition Systemという」)として本システムの開発を昭和57(1982)年より開始し、昭和58(1983)年より運用を開始した。その後、計算機システムの更新及び各種機能の追加・改良を進めてきた。 本システムの開発工程を図8.4.22に示す。 (1)開発の背景 「ふげん」においては、核特性、伝熱流動特性などの過渡的なプラント特性だけでなく、機器の経年変化などの長期的なプラント実績を、計測器から実測データを収集・整理して蓄積、これら実測データ |
は、原型炉としての役割を果たすため、設計値または解析値との比較・評価を行う必要があった。
このため、特に次の点を考慮して「ふげん」のプラントデータ処理システムを開発した。 ![]() ![]() ![]() ![]() (2)システム概要 当初、開発したシステムは、データ収集用のミニコン及びデータ解析を行う運転管理用計算機(汎用計算機)から構成されていた。ミニコンは、原子炉、原子炉冷却系、タービン系などのプラント各系統の計測器からのデータを収集し、運転管理用計算機は、データの蓄積と解析を行っていた。その後、パソコン、ワークステーション及びサーバ(クライアント・サーバシステム)に置き換え、処理の高速化、機能の充実及びプラント入力データ等の充実を図ってきた。プラントデータ収集システムの概念図を図8.4.23、機能概要を図8.4.24に示す。プラントデータ収集システム全体は、以下の5項目の機能を有している。 ![]() プラントデータの収集のため、各設備の計測器出力が、FDASのプラント入出力装置(PIO:Process Input Output unit)に接続されており、アナログ:572点、ディジタル:247点、パルス入力:2点(実 |
図8.4.22 プラントデータ収集システムの開発工程
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