第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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8.1.4 圧力管材料照射試験片による評価
 圧力管材料(Zr-2.5%Nb)の供用期間中の健全性は、圧力管の検査の他に、監視試験片の照射後試験により確認することとなっている。
 監視試験片は、経済産業省令第62号「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」第12条で、「原子炉施設に属する容器であって、1MeV以上の中性子の照射を受け、材料が著しく劣化するおそれがあるものの内部には、別に告示する監視試験片を備えなければならない」との規定に基づいて実施したものであり、容器と同じ条件下で照射によって劣化するおそれがある容器の材料を照射し、追跡的にその劣化の程度を把握して、容器の健全性を確認することを目的としている。
 「ふげん」圧力管は、省令で定める容器に該当するため、圧力管の監視試験片を特殊燃料体に装荷して、それらを順次取出して照射後試験を行い、健全性を確認した。
 特殊燃料集合体の構造と炉心配置を図8.1.19に示す。
(1)試験方法
 経済産業省告示第501号で監視試験として引張り試験と衝撃試験を実施することとなっているが、圧力管材料の特殊性を考慮し、衝撃試験に代えて、曲げ試験片による破壊靭性試験を実施した。これは、
圧力管材料が、水素を吸収する性質があり、水素を吸収すると脆化するおそれがあるという特殊性を考慮し、圧力管の不安定破壊に対する設計基準として、線型破壊力学の概念を取り入れた結果により定められたものであり、この破壊靭性値の測定結果により、脆性破壊に対する健全性を評価している。
 また、水素吸収量等を評価するため、腐食試験片を追加するとともに、技術基準においては、監視試験片の取出し回数が3回となっているが、8回の取り出しを実施する計画とした。
 監視試験片の形状図を図8.1.20、監視試験片の取出し計画を表8.1.4、1回当たりの試験片数を表8.1.5に示す。
(2)照射後試験結果
 監視試験片の照射後試験は,5回(第4回,第8回,第10回,第12回,第14回定期検査時取出し)実施している。
 監視試験片の高速中性子照射量は,
第4回定期検査時 :2.7×1025n/m2
第8回定期検査時 :5.7×1025n/m2
第10回定期検査時 :7.0×1025n/m2
第12回定期検査時 :8.7×1025n/m2
第14回定期検査時 :1.2×1026n/m2
であり、設計寿命積算照射量(3×1026n/m2)の

図8.1.19 特殊燃料集合体の構造と炉心配置


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