第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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第8章 「ふげん」における運転・
保守技術の高度化

8.1  圧力管検査技術及び圧力管健全性評価
8.1.1  総 論
 圧力管材料強度検討会(旧通商産業省)は、旧動力炉・核燃料開発事業団(以下、「動燃」という)による試験・研究開発の結果報告を基に、昭和48(1973)年、圧力管について設計手法、材料の健全性等の審議・評価を行い、「圧力管設計指針」を取りまとめるとともに、プラント運転期間中における圧力管の健全性確認の計画、評価法を決定した。
 圧力管は、「圧力管設計指針」により設計されれば、安全性は十分に確保できると評価された。また、Zr-Nb材の中性子照射効果による影響は、材料の持つ特性から特に問題はなく、健全性は十分に確保されると判断された。
 許容応力強さの決定因子として引張り強さと降伏強さに加えて、クリープ破断強度を基準とし、クリープ歪量の制限値を暫定的に2.5%とした。運転開始後の圧力管の健全性を確認する検査を計画し、圧力管モニタリングの項目として、圧力管の内径測定により中性子照射によるクリープ量を算出し、余寿命評価を実施していくこととした。
 さらに、材料特性の確証のため、複数個の監視試験片を原子炉に装荷しておき、供用期間中に取り出し、順次照射による影響、強度試験・成分分析により脆性特性を確認し評価することとした。また、圧力管は、表面欠陥の長さが、材料の限界貫通欠陥長さ(CCL)より短い場合は、Leak Before Break特性を有し、圧力管の破断は破断前の冷却材漏えいにより、検出可能と判断された。
(1)検査計画
 圧力管集合体の健全性を確認するため、圧力管モニタリング及び供用期間検査を計画した。
(2)圧力管モニタリング
 原子炉の運転開始後、計画的に圧力管のクリープひずみを実測し、設計評価式の予測値との比較評価を行うとともに、その後の運転によるクリープ挙動を予測し、次の検査時期までの安全性を確認していくこととした。
 検査対象としては、原子炉の設計受命中の積算中性子照射量が、最も高くなると予想された圧力管4

図8.1.1 検査対象圧力管配置図

本を選定し、継続して検査することとした。また、それに加えて、運転中の照射実績を基に、最大照射量の圧力管1本を検査し、健全性の確認を行うこととした。検査対象の圧力管例を図8.1.1に示す。
 検査項目は、遠隔検査装置を用いた体積検査(圧力管の欠陥探傷検査)及び内径測定検査である。ここで、体積検査による欠陥検出限界は、長さ5mm、深さ0.4mmを目標とした。3つ目の検査項目は、光学装置(カメラ)を用いた内表面肉眼検査である。
(3)供用期間中検査
 光学装置(カメラ)による内表面内眼検査の検査範囲は、圧力管本体及びその上下に接続されている延長管(入口管等の溶接部を含む)の約7mが対象である。

8.1.2 圧力管検査装置
 「ふげん」においては、遠隔自動で数種類の検査を行う圧力管集合体の検査装置を独自に開発し、計画的に検査を行うことにより、圧力管集合体の健全性を体系的に確認した。
 「ふげん」の原子炉は、燃料体を装荷する224体の圧力管集合体が、格子状に並べられている。原子炉



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