第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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更するとともに、スペーサとの摺動機構を採用した。
燃料集合体伝熱流動試験
 伝熱流動特性試験は、原型炉燃料集合体のバーンアウト特性を確認するものであり、大洗工学センターの流動伝熱試験室(HTL)で実施した。
 この試験結果から原型炉燃料集合体の限界熱流束(CHF)相関式を作成し、設計で使用した。また、燃料開発の初期段階で、燃料集合体の偏心やスペーサ間隔によるバーンアウト特性への影響を明らかにし、燃料集合体外周構造やスペーサ間隔の最適化に反映した。
照射試験
 「ふげん」燃料のための照射試験は、MOX燃料及び円筒クラスタの照射特性確認を目的として、日本原子力研究所(以下、「原研」という)のJMTR、ノルウェーのHBWR、イギリスのSGHWRを用いて実施した。
 初期の照射試験においては、ペレット形状、スペーサによる燃料要素の支持方法等をパラメータとして、これらの構造設計に反映した。また、SGHWRにおいては、標準燃料集合体の実規模照射試験を行い、集合体構造を含めた燃料設計全体の妥当性を確認した。
 さらに、「ふげん」において照射された初装荷燃料集合体と取替燃料集合体の計2体の燃料集合体は、照射後試験を実施して照射挙動を確認した。その結果、予測通りの照射挙動を示しており、また異常な変形、破損も発生しておらず、燃料設計手法の妥当性を確認した。
 照射及び照射後試験から得られたデータは、逐次、燃料設計コードによる解析と対比し、挙動特性の解

明と健全性の確認を行うとともに、設計手法の確立などに反映してきた。
(2)実証炉用36本燃料の設計開発1)
 実証炉燃料は、集合体当たりの燃料要素本数を「ふげん」の28本から36本へと増加させることで、熱的裕度を確保しつつ、燃料集合体出力を増加し、炉心の小型化により建設コストの低減を図ったものである。また、集合体最高燃焼度は、「ふげん」における実績である20GWd/tを基に、当時の軽水炉燃料の動向を踏まえて、核燃料サイクル費の低減のために35GWd/tまで増加させることとした。
 実証炉燃料集合体の高性能化を図ったものが、実証炉用高性能36本燃料集合体である。これは、軸方向に富化度分布をつけた燃料要素を採用することにより、軸方向ピーキング係数を抑え、平均チャネル出力を増加させている。また、ウラン・ガドリニア入り燃料要素を採用することにより、新旧燃料の出力ミスマッチを抑制し、高燃焼度化を図っている。
 実証炉燃料の設計開発は、「ふげん」における手法を踏襲して進められ、試作試験、熱水力特性試験、耐久性試験等が行われた。また、「ふげん」用に開発した燃料設計コードATFUELは、燃焼度の増加に合わせて、Vitanzaらが提唱するFPガス放出モデル2)を組み込むなどの改良を行い、またBWR燃料の照射試験データ、実証炉用36本燃料集合体の照射試験データ、HBWRでの燃料温度、燃料要素内圧等の計装データを用いて妥当性を検証した。
 実証炉用36本燃料の照射試験は、試験用の燃料集合体を設計、製作し、イギリスのSGHWRと「ふげん」において計6体の36本型燃料を照射し、うち5体の照射後試験を行った。その結果、設計燃焼度ま




図7.4.2 被覆管内面観察結果


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