第6章 「ふげん」の運転実績

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 「ふげん」においては、合計で317体(実装数224体、予備92体、廃棄1体)のシールプラグを製作及び保有し、燃料交換時等の脱着の際に、圧力管に装着していたシールプラグを整備済みの予備品と交換する。第33回燃料取替(平成14年度計画停止)までの延べ取替体数は、2,262体である。
 シールプラグ取扱実績を、表6.2.3に示す。
シール性能
 シールプラグからの原子炉冷却材の漏えいは、シールリーク系によって、常時、監視していた。1次シールからの漏えい量は、許容値である300cc/hに比べて、十分に低く、シール性能は極めて良好であった。
不具合事象
 昭和62(1987)年10月、計画停止中の燃料装荷作業において、燃料交換機でシールプラグを、取り外せない事象が生じたため、当該シールプラグを解体して、取外し治具等により圧力管から取り除いた。
 原因調査の結果、ガイドヘッドのウェアリングにクラッドの圧着片が発見された。ウェアリングと圧力管との間隙にクラッドが堆積したシールプラグを押し上げたことにより、ガイドヘッドが傾いたことによるものと判明した。
 この事象の再発防止のため、次の対策をとり、以後、同種事象は発生しなかった。
・燃料交換時のシールプラグ交換は、燃料取出時に行い、クラッドが、頂部に堆積した使用済シールプラグは再装着しない。
・圧力管におけるシールプラグの取扱い時は、燃料交換機から圧力管側へ給水し、圧力管側から落下するクラッドが、ウェアリングと圧力管との間に噛み込むことを防止する。
 なお、平成11年10月、クラッドの噛み込みが原因と思われるシールリーク量の増加が見られたが、シールプラグの健全性に問題はなかった。
 シールプラグに関する保守点検実績は、次のとおりである。
)点検内容
 燃料取出時に取り外されたシールプラグは、次期装着用に分解点検を行い予備品として整備し、定期検査工程及び計画停止期間の短縮を図った。
 部品の品質管理は、ドームはもちろん、支持構造物も「第1種容器」の基準を準用した。分解が容易なように、シールプラグの部材間の結合は、ネジ構造とした。
 分解点検の結果、主要部品にクラック、腐食、変形等の異常は認められなかった。
)シールエレメント
 シールエレメントは、原則として分解点検時に全数交換としたが、平成4(1992)年3月までは、再使用の可能性を検討するため、取り外したシールエレメントの外観・寸法検査、浸透探傷検査、シール部表面粗さ及び曲がり測定を実施した。
 その結果、再使用は十分に可能と判断されたが、経済的利点に乏しいため、シールエレメントは、再使用せず、取り外したエレメントの外観・寸法検査及び浸透探傷検査により、シール性能に影響を与えるような損傷がないことを確認することとした。
)ドーム
 耐圧部材であるドームは、外観・寸法検査及び浸透探傷検査に加え、平成7(1995)年9月以降は、超音波探傷検査も追加して実施した。
(4) 評価
 昭和53(1978)3月の初臨界以来、「ふげん」におけるシールプラグの使用実績は、25年を超え、この間の運転保守実績により、「ふげん」用に開発されたシールプラグの構造・機能に関する設計の妥当性を確認し、また保守技術も確立した。なお、クラッドによるシールプラグ固着を1回経験したが、運用上の対策により、その後の発生は防止できた。

6.2.3 カランドリアタンク及びカランドリア管
(1)構造及び機能4)
 「ふげん」の原子炉本体は、カランドリア、圧力管集合体及び鉄水遮蔽体等で構成されている。カランドリアは、カランドリアタンク、カランドリア管等の総称で、重水(減速材)を保有し、原子炉冷却材と分離することを目的としている。
 原子炉本体概念図を図6.2.6、カランドリアの主要仕様を表6.2.4に示す。
カランドリアタンク
 カランドリアタンクは、重水を保有する炉心タンク、ダンプ時に重水を収容するダンプスペース、常時、炉心タンクの重水をオーバーフローさせるオーバーフロースペースで構成する一体溶接構造のステンレス鋼製タンクである。カランドリア管及び制御棒案内管等が、炉心タンク内に、取り付けられている。
 重水は、その大部分が、制御棒の冷却を兼ねて制御棒案内管より炉心タンク内に供給され、供給された重水は、炉心タンク上部よりオーバーフロースペ


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