第6章 「ふげん」の運転実績

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6.1.8 廃棄物管理
 「ふげん」において発生する放射性廃棄物は、気体廃棄物、液体廃棄物及び固体廃棄物に大別される。
 運転に伴って、施設から環境に放出される気体廃棄物及び液体廃棄物は、それらの性状に応じて放射性物質の濃度と量を低減する措置を行い、法令に定められた濃度限度を下廻るよう管理してきた。また、原子炉施設にあっては、原子炉等規制法に基づく原子炉施設保安規定、重水精製施設にあっては、放射線障害防止法に基づく重水精製施設運用要領に定める放出管理目標値以下に、合理的に達成可能なレベルまで充分低く抑えるよう努めてきた。
 固体廃棄物は、将来の安定化・減容化等の処理を考慮し、原子炉施設内の貯蔵タンクまたは敷地内の固体廃棄物貯蔵庫にドラム缶等に封入して貯蔵保管してきた。濃縮廃液は、アスファルト固化を行い、ドラム缶に封入し、最終処分形態として固体廃棄物貯蔵庫に保管している。なお、使用済イオン交換樹脂は、最終処分を考慮した減容・安定化処理方法の検討・開発を進めている。
(1)放射性気体廃棄物
 「ふげん」における気体廃棄物は、写真6.1.2に示すとおり、原子炉施設排気筒、廃棄物処理建屋排気筒、重水精製施設排気筒の3つの排気筒から排気し
ている。
 気体廃棄物の年度別放出実績を表6.1.26に示す。
 廃棄物処理建屋排気筒、重水精製施設排気筒からは、トリチウム以外の放出はなかった。
 原子炉施設排気筒からのよう素131及び粒子状物質は、昭和61(1986)年度、チェルノブイル原発事故による影響で、換気系からの取り込みにより、ごくわずかに放出された他は放出されていない。
 原子炉施設排気筒からの放射性希ガスは、図6.1.64に示すとおり、昭和53(1978)〜昭和58(1983)年度にかけて約1011Bq/年のオーダーで放出されていたが、放出量は、放出管理目標値(5.1×1014Bq/年)を充分下廻るものであった。これらは、原子炉起動時におけるヘリウム系からのヘリウム放出及び炭酸ガス系からの炭酸ガスの放出に伴うAr-41によるものであった。Ar-41はヘリウムや炭酸ガスに不純物として混入した空気中のAr-40の放射化により生成する。昭和59(1984)年度以降、起動前の系統内パージの徹底等を行い、運転方法の改善策を講じたことにより放出されていなかったが、平成14(2002)年4月に、燃料漏洩が発生し、キセノン等の核分裂生成物(FP)が1.2×1010Bq放出された。
 原子炉施設において、気体トリチウムは、ほとんどが原子炉施設排気筒から放出するものであり、廃



写真6.1.2 「ふげん」における3つの排気筒の外観写真


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