第6章 「ふげん」の運転実績

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炉の特徴を踏まえて、それに相応した保障措置を実施してきた。
・燃料として、これまでの軽水炉で使用しているウラン燃料のほかに、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を使用すること。
・原子炉が圧力管型であること。(炉内燃料の直接検認不可)
 「ふげん」は、MOX燃料を取り扱うため、これまでの軽水炉より厳しい保障措置が要求されるが、被覆管で密封された燃料体の状態で取り扱われるので単位体施設(Item Facility)の保障措置が適用される。
 また、原子炉構造の特殊性から軽水炉のように炉心の蓋を開いて炉心内の燃料を直接検認することができない「接近困難区域」を有しているため、帳簿等による厳重な移動管理が要求されている。
計量管理
 「ふげん」においては、昭和51(1976)年〜52(1977)年度に初装荷燃料が搬入されて以来、平成15(2003)年3月末まで、計79回の新燃料輸送と33



図6.1.51 ふげんMBA及びKMP

回の燃料交換が実施されてきた。現在、燃料体は、当施設内の炉心及び使用済燃料貯蔵プールに装荷または貯蔵されている。
 原子炉設置許可により取り扱う核燃料物質、すなわち、燃料体に係る物質収支区域(MBA)は、計量管理上、1MBAであり、3つの流れの主要測定点(KMP)と5つの在庫のKMPにより構成されている。その構成を図6.1.51に示す。
 その他に核燃料物質の使用の許可に係るMBAがあり、中性子検出器に入っている少量の核物質を対象としている。
 新燃料は、燃料製造施設から輸送され、KMP1で受け入れられたあと、送り状及び重量証明書等に基づき計量管理帳簿類にバッチ番号、国籍、核燃料物質量及びその他の必要事項が記録され、新燃料貯蔵室(KMPA)に貯蔵される。
 燃料体の炉心への装荷は、燃料受渡プール、燃料交換プール(KMPB)を介して行われるが、これらの移動は、施設内の移動管理伝票によって管理されている。
 炉心から使用済燃料を取り出す場合(KMP2)、集合体1体を1バッチとして1体ごとにその核的生成・損耗を計算し、在庫変動報告(ICR)を行っている。
 さらに、使用済燃料を施設外へ搬出する場合は、冷却期間のPu-241崩壊分を計算して報告している。
査察
 「ふげん」においては、日本政府及びIAEAによる通常査察が、1977年2月から約1か月に1度の頻度で実施されている。この査察においては、施設側報告データ(ICR等)と記録との整合性チェック、ソースデータのチェック等、いわゆる帳簿検認(Book Audit)が行われる。また、「ふげん」の現場においては、実施可能な範囲でID確認、員数確認及び非破壊検査(NDA)等が実施され、同時に監視カメラのビデオテープ交換(カメラサービス)が行われる。
 この他、実在庫調査(PIT)に併せて、実在庫の検認(PIV)が行われるが、検認内容は、通常査察とほぼ同じである。
保障措置機器の設置
 「ふげん」は、接近困難区域に対する移動モニタ及び二重C/S(それぞれ機能の異なる二種類の封じ込め/監視装置による監視)を解決できないことにより、当初、IAEAの査察目標を達成することができなかった。このため、日本とIAEA間で1989年より、査察目標の達成のための保障措置手法について、


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