第6章 「ふげん」の運転実績![]() |
第 6 章 |
定期検査時は、73日間(解列から並列まで)で実施した。第1回から第17回までの定期検査実績を表6.1.5に示すとともに、最短工程で終了した第7回定期検査の実績工程を表6.1.6に示す。
また、定期検査時おいては、次に示すような種々の改善を実施し、工程の短縮、作業安全の向上、作業被ばくの低減を図ってきた。特に第8回定期検査時に、原子炉冷却系統Aループ側の応力腐食割れ(SCC)の対策工事(SUS304材からSUS316材、SUS316L材への材料取替)に伴う作業被ばくの低減のため、原子炉冷却系統の化学除染を当該Aループに対して実施し、大幅な被ばくの低減が可能なことを実証した。この化学除染は、国内の供用期間中の原子力発電所においては初めてのものであった。その後、第9回定期検査時に、上記同様にSCC対策工事に伴う被ばくの低減のため、Bループ側の化学除染、第15回及び16回定期検査時に、原子炉再循環ポンプの分解点検周期に併せて対象ループの系統化学除染を実施し、いずれも大幅な作業被ばくの低減を図ることができた。 ![]() ・予備体等との取り替えによる工程短縮(CRD、シールプラグ、燃料交換装置上・下部駆動装置) ・点検専用設備の設置(揚重設備の設置、タービンノズル点検架台の設置) ・線量当量率の低減(仮設鉛板・鉛マット設置による遮蔽、系統及び機器の化学除染の実施) ・機器の型式等の変更(油圧防振器からメカニカル防振器への変更、燃料交換装置の駆動機構及び容器の改良、) ![]() ・ISI機器の改善(小口径配管用超音波探傷装置の開発、圧力管モニタリング装置の開発) ![]() ・計算機を用いた保守管理システムの導入(アイソレーション管理、工程管理) ・定検管理班の設置(所内の横断的な定検管理組織の設置) (5)設備改良・取替 「ふげん」においては、運転実績、保守実績及び軽水炉の経験を反映して、各定期検査時に設備維持改良のために必要な改造・取替工事を主として行ってきた。設備改造工事の主な目的は、大別すると次のようになる。 ![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() これまで実施してきた主な改良工事の概要を表6.1.7に示す。 特に、昭和55(1980)年度の計画停止時に発見された余熱除去系配管及び非常用炉心冷却系のSUS304配管溶接部近傍の応力腐食割れ(SCC)に対する対策工事は、最も大規模な改良・取替工事であった。SCC対策については、原子炉冷却材圧力バウンダリ内のSCC発生の可能性がある配管を、可能な限り耐SCC性に優れた低炭素のSUS316材、SUS316L材への材料取替えまたは溶接部への高周波誘導加熱による応力緩和法(IHSI:Induction Heating Stress Improvement)を実施することとし、第2回定期検査から第9回定期検査までに計画的に実施した。材料取替え実施範囲を図6.1.9に示す。また、圧力管型原子炉に特有な小口径・管群構造の入口管・上昇管等は、前述の対策が困難な部分となっている。これらについて、水質改善による対策を行うこととし、我が国の沸騰水型原子力発電所では初めての原子炉冷却水への水素注入を採用した。 (6)保守管理技術の高度化4) 「ふげん」においては、保守管理業務の省力化及びATR開発に有益な設備・機器の保守データを蓄積するため、昭和55(1980)年11月から保守管理システム(MMS:Maintenance Management System)を導入した。本システムは、運用を開始した当初、大洗工学センターの計算機をリモートバッチ処理(RJE:Remote Job Entry)により利用するものであったが、昭和60(1985)年から、「ふげん」への汎用計算機及び大容量記憶装置、日本語処理端末の導入により、ホスト計算機を利用したオンライン処理方式に移行した。また、その時点でAI(Artificial Intelligence)及びCAD(Computer Aided Design)等のソフトウエアも導入し、系統図面類の電子化を開始した。その後、計算機の2000年問題の対応と合わせて、平成12(2000)年から、所内LANを基幹とし、全所員のパソコン(windows)を利用したクライアント、サーバ方式に移行し、GUI(Graphical User Interface)による操作性の向上、汎用性の向上を図り、保守管理業務を総合的に支援するシステムまで高度化し、事務処理の効率化、 |
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