第6章 「ふげん」の運転実績

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 第8回定期検査から、「定検支援Gr」に代わり、発電課日勤班を中心とした12〜16名の「定検管理班」を編成し、作業の工程調整、アイソレーションの検討・実施・復旧、試運転等すべての作業管理を実施することとした。これにより、円滑な作業管理が可能となった。ただし、燃料交換作業については、引き続き当直で実施することとした。
 第16回定期検査から、ヒューマンエラーに起因するトラブルにかんがみて、作業管理に万全を期するため、系統管理(発電課定検管理班)、作業工程管理(保修課計画管理チーム)、検査管理(技術課及び保修課)等の定検管理を定検管理センターにおいて一括管理できる体制を構築し、定期点検の作業管理の改善を図った。
(6)運転監視手法の高度化
データ収集装置(FDAS)の導入
 運転初期の運転監視業務の主体は、中央制御室における制御盤監視及び現場の巡視点検であった。そこで、昭和58(1983)年に運転支援補助システム「データ収集装置」(入力点約800点)を導入し、異常兆候の早期発見やプラント起動停止操作における関連パラメータの監視を行ってきた。データ収集装置で蓄積したデータは、定期的に解析・検討し、異常の有無の確認に活用している。
 データ収集装置は、その後、改良を行い、現在、入力点が約2,300点となり、運転監視、運転操作に活用している。
プロセス計算機の高度化
 第9回定期検査時に、それまでの運転経験を活かし、「ふげん」のプロセス計算機を、大幅に運転支援機能を充実した計算機にリプレースしている。
 運転支援機能として、主要な系統の状態図のCRT表示、プラント起動停止時の操作支援機能、プラントトリップ時の運転操作支援機能及びプラントデータのトレンド機能等の大幅な拡充を図っている。
遠方監視装置の導入
 第15回定期検査時に、現場の状態を中央制御室の計算機上で監視できるようにするため、遠方監視装置を導入した。導入当初は、監視上重要な16箇所に遠方監視用のカメラを設置したが、その後の増設で、現在約80箇所について監視できるようにした。
 本装置の活用を現場の巡視点検に加えることにより、異常の早期発見や監視業務(現場操作盤のプラントパラメータ監視、大型回転機器の運転状態の監視など)の効率化を図ることができた。
(7)教育訓練体系
 実際にプラントを取り扱う運転員の技量が、プラントの運転管理を考える場合重要な要因となる。運転員の技量を一定以上に保つことが、安全かつ安定な運転を継続するために不可欠であり、教育訓練は、欠くことができないものである。
 「ふげん」は、国内初の発電用重水炉であり、運転開始にあたっては、カナダのCANDU炉において運転訓練等を実施した。運転開始後は、OJTを中心に、所内の机上集合教育、日本原子力研究所(以下、「原研」という)や日本原子力発電(株)、原子力研修所、(株)BWR運転訓練センターにおけるフルスコープシミュレータによる運転訓練及び「運転高度化支援装置」(サイト設置型コンパクトシミュレータ)を体系的に組合わせて、運転員の教育を行った。このうち、BWR運転訓練センターにおいては、主として運転操作の基本やチームワーク等についての訓練を行い、一方、「ふげん」サイト内にある「運転高度化支援装置」においては、「ふげん」特有事項のプラント動特性の学習や主要な系統の起動停止訓練を行い、互いに不足分を補う教育・訓練を実施した。
 また、当直班単位で毎月1回の異常時操作訓練を行い、異常時の対応操作に関する教育を繰り返し行った。さらに、運転員に必要な幅広い知識・技術を習得するため、社内の階層別教育、関連メーカー主催の技術講習、国家試験・講習会等に積極的に参加した。
 「ふげん」の教育訓練体系は、各級運転員ごとに具体的な教育目標を定め、所定の期間内に到達できるように組まれている。また、本人や当直長が、常に教育訓練の状況を把握できるように、運転員教育手帳により管理している。この運転員教育手帳は、運転員の昇級を審査する発電課内の昇級審査会でも活用している。
 また、平成13(2001)年から、運転員個人単位で保安規定に定められている保安教育を体系的に管理するため、計算機による保安教育管理システムを導入している。教育訓練体系を表6.1.3に示す。


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