第3章 「ふげん」の設計![]() |
第 3 章 |
第3章 「ふげん」の設計 |
「ふげん」の設計は、昭和41(1966)年に動力炉開発臨時推進本部が、原子力産業5グループ〔(株)日立製作所、(株)東芝、三菱重工業(株)、富士電機(株)、住友重機械工業(株)〕それぞれに発注・委託し、これを受け各グループから提出された原型炉概念設計にさかのぼる。動力炉・核燃料開発事業団(以下、「動燃」という)は、まず第1次概念設計を実施して、これら5グループの「ふげん」概念設計を一本化し、1つの基本構想をまとめあげることからスタートした。さらに、この構想に基づき、第2次概念設計を進めて、設置許可申請を行い、安全審査の審議結果を採り入れて更に調整設計を行うとの方針のもとに進めた。 3.1 第1次概念設計 新型転換炉開発本部は、昭和42(1967)年10月、動燃発足と同時に鵜木丈夫理事、島史朗開発副本部長を中心に、わずかな陣容でスタートし、第1次概念設計に取り組んだ。 第1次概念設計を進める上で重要なポイントは、原子力産業5グループの分担をどのように決めるか、5つの構想を、どのような方針と評価で1つにまとめるか、という点であった。 第1次概念設計の分担については、各グループそれぞれが行ってきた原子力開発と技術を勘案して決定し、主務会社として(株)日立製作所を選定した。 「ふげん」の5つの構想を一本化する際、方向を決めなければならない主要項目は、 ![]() ![]() ![]() 3.1.1 燃料交換方式 各グループからの提案は、上方からと下方からに分かれていた。そのため動燃内で技術上の難易や問題点について、それぞれの設計に基づいて検討した。一方、原子力委員会(昭和42年4月13日原子力開発利用長期計画)が“新型転換炉の開発は天然ウランを燃料に用いる炉を開発することを目標に進める”と明示していた。天然ウラン専焼の場合は、燃焼度は低く、余剰反応度は小さいので、運転中に燃料 |
交換をしなければならない。上方から燃料交換を行えば流速が早く、二相流の中で燃料のつかみや操作をしなければならないが、下方から燃料交換を行えば流速が遅く、単相流の雰囲気でできるので、下方燃料交換方式に決定した。 3.1.2 制御方式 制御方式は、固体制御棒、重水水位制御、ポイズン管などがあり、各グループからも各種の組合せで提案があった。これらの得失を検討した結果、我が国で実績のあるものを優先する考えを採り、JRR−3の方式と同型(固体制御棒、ワイヤードラム方式)を採用することにした。 3.1.3 燃料集合体 燃料集合体は、37本クラスターと28本クラスターが候補に上っていた。一方、プルトニウムは、冷却材のボイド反応度を負に下げる効果はあるが、入手問題と価格の点から、初期炉心にはウラン燃料を主に装荷することにしていた。そして燃料集合体を柱に、経済性、冷却材のボイド反応度の観点から選定することにした。 経済性については、USAEC Report DP-1004に記載されている最適計算方法と数値を基に評価した結果、わずかではあるが、28本クラスターが優れている結果を得た。また、冷却材のボイド反応度は、同一のVm/Vfにおいて28本クラスターの方が小さい値を示した。そこで、燃料集合体は、28本クラスターを採用することにした。 3.1.4 原子炉冷却系ループ数 ウラン燃料でもウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料でも稼動できるようにし、プルトニウムセルフサスティニングサイクルを3年間で実証することを基本に第1次概念設計を進めたが、初期炉心は微濃縮ウランを装荷することにしたため、冷却材ボイド反応度は若干正になった。このため、原子炉冷却系が破断して冷却材が喪失しても、反応度上昇がβ(即発中性子割合)以内に収まるように原子炉冷却系を独立4ループに分けることにした。 |
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