第2章 「ふげん」プロジェクトの誕生

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図2.2.1 新型転換炉の役割の変遷図


 一方、原子力平和利用と核不拡散を両立させることを目途に、INFCE(国際核燃料サイクル評価:International Nuclear Fuel Cycle Evaluation)が、アメリカのカーター大統領の提唱で、昭和52(1977)年10月〜昭和55(1980)年2月に実施された。INFCEの評価について、米国エネルギー省(USDOE)から委託を受けた「R&D Associates」は、日本のプルトニウム利用に関する政策を分析し、「ふげん:日本の原子力政策を写す鏡」(FUGEN:A MIRROR OF JAPAN'S NUCLEAR POLICY9))とまとめて、USDOEに提出した。

2.3 開発戦略・基本姿勢
 動力炉部門のプロジェクト管理は、プロジェクトの“Policy Making”と“Management”すなわち、プロジェクト“Planning”“Arranging” “Coordinating”“Promoting”“Evaluating”
“Check and Review”を行い、ベクトルを併せて開発を進めることを基本にした。この理解の上に立って、次のように開発を展開することにした。
(1)設計の基本仕様を決定し、性能・費用・工程に責任を持つ。
(2)世界の開発動向と科学技術水準を調査し、我が国の状況と比較調査し、海外協力もできるだけ行う。常に、チェック・アンド・レビューを行って、大胆に冷静に大局から研究開発の進路に必要な修正を行う。
(3)実務を理解して、討議できる識見を持つ。
(4)外部との接触を怠らず、動燃の考えを相手によく理解させる。
(5)ベクトルを併せて開発を進める。


2.4 プロジェクトの進め方と管理のあり方10)
 新型転換炉の開発は、2.3 に記述した心構えをベ−スに、自分自身の手で“設計”“製作”“運転”し、トラブルが起これば自らの手で解決し、将来の改良・発展を的確に行えるよう、次の事項を基本に展開することにした。
 「ふげん」の主要研究開発スケジュールを表2.4.1に示した。


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