国際協力



  国産の自主開発炉としてこれまで蓄積されてきた「ふげん」での知見や経験、技術開発成果などを活

かして、世界の原子力安全向上に向けた技術協力も展開してきました。

ロシア・リトアニア二国間協力

  原子力史上最悪となった旧ソ連製黒鉛炉(RBMK炉)のチェルノブイリ事故が契機となり、これまで同じ型式の炉の安全性向上のため、IAEAを通じた技術協力や二国間協力を進めてきました。
  ロシアのレニングラード発電所へは、ATR用に開発した耐高温マイクロフォンを用いた原子炉冷却材の漏えい検出システムの技術支援を行いました。RBMK炉は「ふげん」と同じ圧力管型炉で減速材が黒鉛であることが異なりますが、原子炉冷却系の構造は類似しており、ATR用に開発してきた安全性向上技術がRBMK炉の安全性向上に大いに役立てられました。
  リトアニアのイグナリナ発電所へは、圧力管の腐

食や低出力時における蒸気ドラムの水位制御の問題に対して、水質管理技術や運転訓練用の水位制御支援システムの技術協力を行ってきました。圧力管の腐食に関しては、運転データや水質データの収集に必要なプラントデータサーバーシステムの構築や水質測定装置の設置、データの分析、腐食状況の調査、分析評価などを行ってきました。さらに、サイクル機構で開発した圧力管酸化膜厚さ測定装置の導入により圧力管を引き抜かずに腐食量が評価できるようになり、圧力管の健全性確認が大きく進歩しました。水位制御の問題に関しては、ファジィ給水制御技術開発により得られた知見に基づいた運転支援システムを提供し、運転員の教育訓練に活用することにより運転安全性の向上に貢献しました。

←ロシア レニングラード発電所(RBMK炉)で行われたIAEAの安全性改善ミッション(ASSET)への協力。過去に発生した事故・トラブル事象を分析評価し、それに基づく安全性向上のための勧告を行いました。(1993年5月)
日本とリトアニアの両政府間の合意に基づき、イグナリナ原子力発電所の給水制御操作支援システムの基本設計について協議(2000年10月)→