「ふげん」(ATR)プロジェクトの意義



「ふげん」プロジェクトの意義
 
 
昭和41年5月、原子力委員会は「動力炉開発の基本方針について」を発表し、“核燃料の安定供給と効率的利用を図るべく、国内における核燃料サイクルの確立”を基本とする、今後のわが国の核燃料政策および動力炉の開発に関する基本計画を決定しました。あわせて、これらの計画の推進に当たってはわが国の科学技術水準の向上と産業基盤の強化に資するため、可能な限り自主的に開発することが謳われています。核燃料の国際サイクルをベースにした国内サイクルや海外技術の導入という考え方が依然存在する中で、わが国のエネルギーの安定供給とセキュリティ確保を究極の目標として、核燃料サイクルの自立体制の確立を目指すことを宣言したものです。このような核燃料戦略において、ATRはその柔軟な炉心特性および軽水炉の技術と経験が活用で

きることから、早期 に減損ウランやプルトニウムなど核燃料の効率的利用の実証が期待される炉型として自主開発が決定され、原型炉「ふげん」は建設されました。
 「ふげん」は国家プロジェクトとして以上のように、二つの大きな使命を担っていました。ひとつはわが国の原子力政策、すなわち自立した核燃料サイクルの確立という国家戦略の先兵として、世界に先駆けてプルトニウムの本格利用を実証すること、二つ目は、“自主開発”の言葉に集約されるように、在来軽水炉の技術を有効に活用しつつもわが国における巨大産業技術の育成、成熟を促し、関連産業の基盤強化やインフラストラクチャー整備、技術水準向上など産業構造の高度化に寄与するとともに、自らの設計・建設によるATR型炉の発電プラントとしての技術的成立性を立証することです。



「ふげん」開発年表