国立研究開発法人日本原子力研究開発機構/国立研究開発法人日本原子力研究開発機構/国立大学法人 東北大学/国立大学法人 岡山大学

平成27年 5月15日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
国立大学法人 東北大学
国立大学法人 岡山大学

強い磁場でよみがえる超伝導のしくみを解明
- 磁場で制御するウラン化合物の新しい機能性の解明と材料開発の推進 -

【発表のポイント】

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄)原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 重元素材料物性研究グループの徳永陽研究主幹らは、フランス原子力庁グルノーブル研究所(CEA-Grenoble)、東北大学金属材料研究所、フランス国立強磁場研究所(LNCMI-CNRS)及び岡山大学と共同で、ウラン化合物URhGe1)において、強い磁場により発現する新しい超伝導のしくみを初めて明らかにしました。

超伝導はもともと磁場と相性が悪く、どんな超伝導体でも強い磁場をかけていくと、最後には超伝導が壊されてしまいます。ところが、ウラン化合物URhGeでは、磁場でいちど壊された超伝導が、ある特定の方向にさらに強い磁場をかけると再び出現するという、これまでにない現象が見つかっていました。しかし、なぜそのような現象が起こるのか、そのしくみはこれまでわかっていませんでした。

今回の研究では、物質にかける磁場の強さと方向を変えながら、核磁気共鳴法2)を用いてURhGeの電子状態の変化を調べました。その結果、超伝導が再び出現する強い磁場領域において、物質内部の磁化のゆらぎ3)が著しく増大していることを明らかにしました。この結果は、強い磁場が物質内の磁化のゆらぎを増大させ、その増大によって超伝導が再び出現していることを示しています。

強い磁場は超伝導を壊してしまうため、超伝導の応用にとってこれまでは邪魔な存在でした。しかし、今回見つかったしくみを利用すれば、むしろ強い磁場で超伝導を生み出すことも可能です。今後、磁場で制御するウラン化合物の新たな機能性の解明や、強磁場下で動作する超伝導デバイスへの応用が期待されます。本研究成果は、米国物理学会誌 「Physical Review Letters (フィジカル レビュー レターズ)」の オンライン版に5月15日(金)にEditors' Suggestion(注目論文)として掲載される予定です。

図1

原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 
重元素材料物性研究グループ
研究主幹 徳永 陽

参考部門・拠点: 先端基礎研究センター

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