平成23年8月18日

独立行政法人日本原子力研究開発機構/株式会社千代田テクノル/富士フイルムRIファーマ株式会社

加速器中性子で生成した医学診断用テクネチウム99mの分離精製と標識化に世界で初めて成功(お知らせ)

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長:鈴木篤之、以下「原子力機構」という。)原子力エネルギー基盤連携センターの中性子利用RI生成技術開発特別グループ(リーダー永井泰樹)は、がん等の核医学診断1)に多用されている放射性同位元素テクネチウム99m(99mTc)2)を、加速器中性子3)で生成したモリブデン99(99Mo)4)から高純度で分離抽出し診断用医薬品に標識させることに世界で初めて成功しました。

99mTcの親核種5)である99Moは、海外の研究炉で高濃縮ウランを用いて製造されています。近年、これら原子炉の高経年化に伴う故障により、99Moが長期に供給不足となる等の問題が発生しました。そのため、99Moの代替生成法の確立が世界的に喫緊の課題となっています。なお、我が国は、99Moの全てを輸入に依存しています。

今般、原子力機構、株式会社千代田テクノル(社長:細田敏和、研究代表:竹内宣博)、富士フイルムRIファーマ株式会社(社長:津田三佐雄)の三者により構成された上記の原子力エネルギー基盤連携センターの研究チームは、加速器中性子を用いて生成した99Moから、短時間で分離精製した99mTcを、医薬品に標識化6)することに世界で初めて成功しました。これは、加速器中性子により生成された99Moから99mTcを製造する新方式により、既存の製品と同等の品質を有する99mTcを供給できることを示唆しています。将来的には、現在、原子力機構の材料試験炉JMTR7)で予定している99Mo製造を補完し、我が国の99Moのより安定的な供給に資することが期待されます。また、本方式は、原子炉を持たない国に輸出する等の国際的な展開が期待されます。

今後は、99Moからの99mTc分離抽出効率を高めるとともに、既存の99mTcと同品質であることを明らかにしていく計画です。なお、本研究成果は、2011年8月に日本物理学会欧文誌に掲載されます。

以上


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