添付資料

平成19年3月30日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

 
試験研究用原子炉施設に係る事故・故障等の未報告事例の調査結果について
 

1.調査項目
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という。)の試験研究用原子炉1)施設について、以下の項目について、調査を行った。
     @ 原子炉の自動停止に係る未報告事例の有無
     A 原子炉停止中における「意図しない制御棒引き抜き」による出力上昇事例(臨界事象)の有無
     B 上記を除く原子炉施設の「事故・故障等の報告」に係る未報告事例の有無


2.調査対象及び調査方法
2.1 調査対象
 原子力機構の試験研究用原子炉施設のうち、廃止措置中の施設を除く以下の施設を対象に、原子炉等規制法で運転記録の保管期間として定めている期間(過去10年間)について調査した。

    [調査対象施設]
    (1) 原子力科学研究所
JRR-3
JRR-4
原子炉安全性研究炉(NSRR)
定常臨界実験装置2)(STACY)
過渡臨界実験装置(TRACY)
軽水臨界実験装置(TCA)
高速炉臨界実験装置(FCA)
    (2) 大洗研究開発センター
高速実験炉「常陽」
材料試験炉(JMTR)
高温工学試験研究炉(HTTR)

2.2 調査方法
 原子炉出力計チャート3)、運転日誌等の記録の確認、及び聞き取り調査により実施した。


3.調査結果
 今回の調査においては、対象施設の全ての原子炉施設において、原子炉等規制法で事業者に義務付けられている「原子炉施設の事故・故障等の報告」に係る未報告事例及び原子炉の臨界事象に係る未報告事例はなかった。
 調査の過程において、原子力科学研究所のTCA及びFCA(資料−1参照)で、自動停止*1の時刻を運転日誌に記載していないなどの不適切な管理状況があったこと、及び自動停止の情報を部長、原子炉主任技術者4)等へ連絡していなかった不適切な対応があったことを確認した*2

    *1: いずれの自動停止も、自動停止の原因が誤操作、ノイズ等であることが明らかで、かつ簡易な調整(コネクタ部の締め直し等)により正常に復旧でき、原子炉の運転に支障を及ぼすおそれのない事象なので、原子炉等規制法で義務づけられている報告対象事象ではない。各自動停止の発生状況はTCAについては、原子炉起動時又は出力上昇時の線形出力計5)のレンジ切替ミス(単純な測定レンジの切替間違い)による自動停止が5件及び原子炉起動時の線形出力系6)の誤信号(ノイズ)による自動停止2件であり、FCAについては19件とも出力上昇時に制御安全棒7)が円滑に炉心に挿入できなかったことによる自動停止8)である。
    *2: 自動停止に関する記録もれ及び連絡もれ:TCAで7件、FCAで19件
記録計チャートの紙送り忘れによる記録の一部欠落:FCAで28件

 なお、もんじゅ、ふげんについては、「原子炉施設の事故・故障等」のうち、原子炉の自動停止及び臨界事象について、記録確認の調査の範囲では未報告事例がなかったことの確認を終了しており、それ以外の項目についても、自主保安活動の一環として引き続き調査を行っている。


4.今後の対応
 これまでの調査によって、不適切な管理状況及び対応を確認したことから、当該施設における再発防止対策の検討を行い、必要な是正処置を講ずるとともに、他施設において類似事象の発生を防止するための予防処置を実施する。


 (用語解説・補足説明
以 上

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