用語解説・補足説明
 
1)試験研究用原子炉
 数100W程度の出力で将来炉の炉心特性の研究に用いる臨界実験装置、中性子を用いた固体物理、放射化分析等の研究に用いる研究炉、原子炉材料の研究に用いる試験炉、及び100MW程度の出力で将来炉の原子炉の特性を確認する実験炉等を総称して、試験研究用原子炉という。
 臨界実験装置にはFCA、TCA等、研究炉としてはJRR-3、NSRR等、試験炉としてはJMTR、HTTR等、実験炉としては「常陽」がある。


2)臨界実験装置
 原子炉の炉心部と同様に、燃料、冷却材を配置し、炉心部での核分裂連鎖反応を実験的に研究する装置である。燃料と減速材の比率、制御棒の配置、炉心温度などを変更し、種々の条件での臨界条件、中性子束の空間分布、制御棒反応度効果などの炉心特性が測定される。


3)原子炉出力計チャート
 原子炉の出力をモニターするために設置された中性子検出器(原子炉の運転制御や出力状態を監視するため、炉心内の中性子量を計測する機器)からの信号を制御盤に設けられた出力記録計の連続記録紙に記録したもの。


4)原子炉主任技術者
 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、原子炉施設の運転に関する保安の監督を行う者。


5)線形出力計
 原子炉の出力をモニターするために設置された中性子検出器からの微小電流を線形増幅した後に制御盤に設けられたチャートレコーダ等に表示するための計器。


6)線形出力系
 原子炉の出力をモニターするために設置された中性子検出器からの微小電流を線形増幅するためのもの。


7)制御安全棒
 燃料板を組み合わせたもの。制御安全棒を挿入することで炉を稼働させ、引き抜くことで停止させる。したがって軽水炉の制御棒とは異なるものである。


8)FCAに係る自動停止の原因
 今回の調査で確認された自動停止は、制御安全棒の挿入操作(出力上昇)において、挿入時の摩擦が大きくなったことが原因である。摩擦が大きくなる原因は、制御安全棒の芯ずれであり、安全に支障がなく、かつ、芯ずれは簡易な調整により容易に復旧することができる。

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