平成18年12月7日 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
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環境に優しい植物由来のゴムのような弾性ゲル体の開発に成功 −群馬県地域結集型研究開発プロジェクト「環境に調和した地域産業創出プロジェクト」での共同研究成果− |
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財団法人群馬県産業支援機構(理事長 富田敏彦)と独立行政法人日本原子力研究開発機構(![]() ゲル素材としては、地球温暖化や資源枯渇の問題を考えると、石油を原料として合成された材料の代わりに、植物等の天然物由来の生分解性を有する材料を利用することが理想です。天然高分子であるセルロースやデンプンなどの多糖類を用いたゲルは、これまで架橋剤(化学薬品)を使用して製造してきましたが、残留架橋剤の毒性が危惧されています。 この問題を解決するため、原子力機構では、水にカルボキシメチルセルロース(CMC)やカルボキシメチルデンプンを加え、10%濃度以上の糊状(ペースト)として放射線照射することにより、多糖類に橋かけを導入する技術を開発しました。この技術によって製作した多糖類ゲルは、高吸水性を有する優れた特徴を持つ反面、膨潤状態で脆くなるため、吸水性を生かした分野への使用に限られていました。 本共同研究では、膨潤状態でも強度を保てるようにして用途拡大を図るため、放射線による橋かけ技術を適用後、さらに酸で処理する方法を考案し、これによって、ゴムのような弾力を備えた多糖類ゲルの開発に成功しました。例えば、20%CMCペーストにガンマ線を20kGy照射後、酸処理して得られたCMCゲルの強度は、未酸処理放射線橋かけCMCゲルと比較して150倍の値(3N/mm2)を示しました。 この弾性ゲルの用途は、家畜排せつ物処理材等の畜産分野、パック材をはじめとする化粧品分野、徐放薬剤基材等の医療分野など広い分野が期待されます。 本成果は、12月10日に東京で開催される第17回日本MRS学術シンポジウムにおいて発表する予定です。 ・環境に優しい植物由来のゴムのような弾性ゲル体の開発に成功 ・補足説明 ・用語説明 |
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