独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.217

＝　現場から　＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

「東京電力福島第一原子力発電所の放射性汚染水と破損燃料の処理を検討」

東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生してから1年が経過しました。
　原子炉内の燃料を冷却するために注水が絶えず行われており、これに伴って汚染水の発生が続いています。汚染水の除染と二次的な廃棄物の処理は重要な課題の一つです。また、原子炉内に残っている破損した燃料の処理は、将来の大きな課題と位置づけられます。次世代原子力システム研究開発部門再処理ユニットと核燃料サイクル工学研究所サイクル工学試験部は、高速中性子炉使用済み燃料の再処理技術開発によって培った、放射性物質の分離や廃棄物処理に関する知見と経験を活かして、事故対策に貢献するべく取り組んでいます。
　汚染水の凝集沈殿処理によって、放射性のスラッジ廃棄物が生じています。これはかなりの間保管する必要がありますので、保管中の安全に関して、ガンマ線によるスラッジと水の放射線分解や高温によるスラッジの熱分解などの特性を調べる試験に着手しました。これまでのところ、現在採っている対策に問題がない見通しを得ました。また、スラッジを加熱して分解することにより廃棄物の減容と安定化が可能であることを確かめており、長期間の管理が必要な場合の技術的選択肢になるものと考えています。
　汚染水の除染処理は今後も継続される見通しですので、より効率的な方法が求められます。セシウム137やストロンチウム90などの放射性核種の化学的除染技術に関して、セシウムばかりでなく複数の核種を効果的に沈殿する方法、二次廃棄物の少ないストロンチウム吸着材の開発を目指して試験を進めています。東海再処理工場の低放射性廃液処理で用いる吸着剤が、海水を含む廃液からストロンチウムを吸着することを確認しましたが、これをさらに改良して行く予定です。
　破損燃料の処理については、燃料の様子が明らかでないことから、まずは性状の調査や予測が必要です。そのために、ウランやプルトニウムを用いた実験研究に着手するとともに、いくつかの処理技術の適用性を検討しています。
　私どもが得た成果は、専門家に向けては3月19日から21日に開催された日本原子力学会にて報告しましたが、学会などの他に、機会を捉えて広く発信して参ります。

（次世代原子力システム研究開発部門）

＝　東日本大震災発生に伴う対応状況　＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

福島第一原子力発電所事故を踏まえた原子力災害時の初動体制等に係る追加安全対策について

当機構は、東京電力福島第一原子力発電所における事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告書等を踏まえ、高速増殖炉研究開発センターにおける原子力災害時の初動体制等に係る追加安全対策の具体的計画を取りまとめました。
　 http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2012/03/p120323.pdf

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除染モデル実証事業等の成果報告会を3月26日に福島市内で開催します。

内閣府や環境省と共催で開催します。参加申し込み者が当初の会場の定員を超えたため、会場を変更しました。内容は除染モデル事業等の結果概要、結果分析・評価、除染技術実証事業の結果報告、今後の取組など。
　 http://www.jaea.go.jp/fukushima/decon04.pdf

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東電福島第一原発の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果（平成24年3月13日）について

3月13日に開催された「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果」に関するシンポジウムの「要項集」及び「発表資料」が公開されました。
　 http://www.jaea.go.jp/fukushima/index.html

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東京電力福島第一原子力発電所事故への対応を行っています。

原子力機構は東京電力福島第一原子力発電所事故に関して、さまざまな活動を行っています。その全般的な内容については下記をご覧ください。
　 http://www.jaea.go.jp/fukushima/index.html
　 http://www.jaea.go.jp/jishin/gaiyou2012/0322.pdf